問題別分科会2「対話と共同によるナラティブ(語り・物語)の生成とエンパワーメント」の運営担当(報告者)の藤本です。先日、分科会の打ち合わせを行いました。司会の久田さんと話し合う中で、分科会で深めたことなどが議論されました。久田さんの日ごろの問題意識とも共通することが分かりました。
久田さんからコメントをもらいましたので、以下にご紹介します。この分科会に限らずぜひ全国大会にご参加ください!
なお渡部基調はこれまでオンラインでしか議論できていません。是非対面で渡部基調を議論したいです。以下久田さんからの「大会参加のお誘い」です。
大会参加のお誘い 久田晴生(愛知)
問題別分科会2 「対話と共同によるナラティブ(語り・物語)の生成とエンパワーメント
報告者:藤本幹人、見波由美子
皆さんは、職場の慣行とか学校の規則といったもの(ドミナント・ストーリー「支配的な物語」)に息苦しさや疑問を感じたことはないだろうか。あるいは、息苦しさや疑問をどこかに感じつつも、「支配的な物語」に縛られ無難な道を選んでしまった自分に気づいたことはないだろうか。
2020年・21年の基調発題(発題者:渡部翔子)は、Mという性自認に悩む一人の生徒に入学から卒業まで伴走した渡部(および学年団と学校)の実践をもとにした発題である。本分科会の報告者の一人である藤本は「ナラティブ(語り・物語)」の側面からこの実践の分析を試みた。藤本が提起していることを筆者(久田)がごく単純にまとめると次の通りである。
「Mが卒業式でスカートをはけたのはなぜか。学校がそれを認めたのはなぜか。ナラティブの観点からそれをあきらかにしたい。」
ここで言う物語とは「現在の何かを結末として、その結末を巡って過去の出来事・経験・感情といったものが組織化されている文章」を指す。つまり、この分科会では「この3年間に、M、渡部、教員集団、生徒集団にどんなことが起き、そのときかれらはどう考えどう行動したのか。そして、それらは卒業式でMがスカートをはくという結末にどう結びついたのか。」を明らかにしたいということである。そしてその議論を通して、新たな学校像・教育像(オールタナティヴ・ストーリー)を提示したい。
渡部は、生徒の人権をまもるため、学校の慣行とか規則に異議を唱えるが、時に「支配的な物語」に縛られている自分を発見する。そのような揺れを伴いながら、できることを少しずつ広げていった。今世紀に入って特に、高生研は一人一人が抱える弱さとか集団内の少数者に光を当て、そこから、現在の学校・教育の抱える問題に切り込み、新たな学校像・教育像を提示してきた。それは、理論だけでなく、渡部が経験したような揺れを伴うリアルな実践を通して、である。
本分科会は、とりわけ性自認を巡る問題から新たな学校像・教育像を追求する。そして、(全体会はもちろんのこと)他分科会でも交流会でも、題材は違えど、同様の追求が行われるであろう。多くの人たちと語り合いたい。大会参加を切に願う。
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