「お利口さんだね」と言われて素直に喜べない自分の違和感を信じていいよ、まだほめられた気分のするひとはそこからそろそろ卒業してもいいんじゃない?こんな話を最近授業びらきでしています。
鵜呑みにしないで、言外の意味や行間を読めるような力をつけて卒業してほしい。他の可能性もあるかも?と一呼吸置くことはあなたの身を守ることにきっとつながるはず。社会や世界をどう見るか、調べ方・確かめ方や学び方を一生ものとして身に着けてほしい——そんな願いで、高校生に出会う4月ももうすぐ終わろうとしています。
「青少年に、判断力や批判力を与える必要はない。彼らには、自動車、オートバイ、美しいスター、刺激的な音楽、流行の服、そして仲間に対する競争意識だけを与えてやればよい。青少年から思考力を奪い、指導者の命令に対する服従心のみを植え付けるべきだ。国家や社会、指導者を批判する者に対して、動物的な憎悪を抱かせるようにせよ。少数派や異端者は悪だと思い込ませよ。みんな同じことを考えるようにせよ。みんなと同じように考えない者は、国家の敵だと思い込ませるのだ」
この言葉は、ある指導者が言ったとされているものです。本当にその指導者が言ったのか、今となっては確かめようがないのですが、ある本で見つけました。ここにある判断力・批判力・思考力こそを養ってほしいと、私は授業や課外活動であの手この手で攻めていきます(笑) この3月に卒業した生徒たちは「ほら、ヤスコの『洗脳』はいってきた〜」と、最後の頃にはこちらの手の内を見透かしたようなことを口にするようになりました。「『洗脳』って指摘されるようなのではほんとうの『洗脳』じゃないしぃ(笑)」と応酬していましたが、本当はたじたじで、とうとう私の「取り説(取扱説明書)」なるものが後輩に口コミで伝えられている模様。ネタバレは悔しいけれど、成長はうれしくて、また新たな出会いへのエネルギーとなっています。
写真は私の席から見える正門付近の桜。入学式が暖かくても冷え込んでも、どれかは咲いているようにと数種類の桜が植えられており、今年も桜のある入学式を終えました。正門の階段を半分上がったところに、もうすぐアンネのバラも咲きます。
京都 岸田康子