今日、7月5日は父の誕生日である。生きていると満92歳だった。父の姓は「黒松」といって、私も大学までは「黒松」姓を名乗っていた。色のつく姓はそれほど多くないと思われるが、村上春樹の小説「色彩を持たない…」にはやたらと出てきて興ざめる。週刊誌にいいように私生活を暴露された乙武洋匡の「だいじょうぶ3組」に出てくる先生の名前もみんな色つきだが、こっちは意図を感じて気にならない。教師をしていると、生徒を含めたくさんの人に出会うが、色のつく姓にはあんまり出会ったことがない。白石・黒田・赤松・青野・黄瀬・紺田・茶田・桃井…だんだん苦しくなってくる。ちょっと珍しい「黒松」から、母の実家の姓である「西村」になったときにはたいへん戸惑った。自分と同じ名前がごろごろしていたからだ。うちの実家は東大阪の「中野」という村の「西」のはずれ。道を隔てた向こうは隣村「横枕」だ。
さて、本題。「西村」は多いのに「東村」はなぜ少ないのか?私の実践を佐藤さんがアレンジした事例に「凡男の、ぼくはおめでとうとは言わない」というのがあって、そこに出てくる主人公「凡男」の姓が「西村」をもじった「東村」なのだが、どう考えても「東村」はおかしいやろ!いままで生きてきて、「東村」さんに会ったことが一度もない。まあ、日本人の姓は大変多いので、この国のどこかには「東村」さんがいらっしゃるのだろうが…。「東田」はまあまあ多いけど、ぜったい「西田」の方が多い。「東川」もあるが、ぜったい「西川」のほうが多い。あと、「東山」と「西山」、「東本」と「西本」、「東尾」と「西尾」など、どれをとっても圧倒的に「西」に軍配が上がる。ただ、単独で「東」と「西」を比べると「あずま」発音を含めたら「東」の方が多いかもしれない。この「西」に偏った姓の分布は「北」と「南」にも言えることで、圧倒的に「北」の勝ちとなる。どうしてそうなるのか、探偵ナイトスクープに投稿したら、カンニング竹山あたりが面白おかしく調べてくれて、「アホ・バカ分布図」のように有名になるかもしれないが、私の中では答えはもう決まっている。「ひがし」や「みなみ」の後に「むら」なんかを付けると言いにくくてしょうがないでしょ?!