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養護教諭の報告

 派遣された養護教諭は、悲惨な話を聞かされました。津波に襲われた学校のプールに遺体が何体も浮いたままになっていたり、木に遺体が引っかかったままになっているのに、収容する人がいないため教員がボイラー室に収容した話。津波に流されまいと必死で木にしがみついていた母子でしたが、母親は子どもにジャンパーを手渡すと、力尽きて流されてしまった話。3月11日以来、話をしなくなった子、暗くなってしまった子、など、数え切れないほどの胸ふさぐ話があるようです。

秋田県では、児童生徒の受入支援等に取り組んでいますが、復興まで長期間が予想されることから、避難所生活をしている避難者の支援をするため、養護教諭等を派遣し、児童生徒、教職員及び避難者(高齢者)の「心のケア」や避難所における衛生管理等について専門性を生かした支援を行うことにし、4月7日~5月31日の予定で14回の養護教諭派遣を続けています。その一員に選ばれた、本校の養護教諭が報告をしました。

 行き先は宮城県石巻市です。3泊4日の仕事は、保健室の環境整備が主で、健康カードへの押印などもあります。机・椅子等の消毒作業や支給された医薬品の分別がありました。こうした活動があまり知られておらず、活用を呼びかけるため他の学校も訪問しています。

 被災直後から医療班を担当していた地元の養護教諭は、看護の資格がない自分にあらゆる処置が要求されましたが、全てに応えることができませんでした。もしかして助ける事が出来た人がいたのでは、という自責の念にかられていたそうです。先生方も復旧作業に追われ、3月中は家にもほとんど帰らず、学校で寝泊まりしていたそうです。

先生方も被災者であり、仕事をしていると気も紛れますが、精神的負担は大きく、先生方の心のケアも必要と感じたと言います。特に養護教諭は予想もしない体験や今後に対する不安などを抱え、同じ立場の人間が話を聞き、一緒に考えることが必要と感じたそうです。また、自分たちが体験できないことを派遣されたことで知ることが出来、とても勉強になったそうです。そして、全ての養護教員に参加してもらい、こうしたことを実際に知って欲しいと思ったそうです。

災害からもうじき3ヶ月です。復興は遅々として進まず、しかも、地域によって差があるようです。私たちはともすると日常の生活に流されてしまいがちですが、現地はまだ大変な生活をおくっています。やはり、現地に行って体験しなければ分からないことがたくさんあります。そうしたことを肌で感じ取り、生徒たちに伝える義務があるのではないでしょうか。特に原発に関しては、私たちより遙かに長い年月を付き合わなければならない人たちですから。       とらぬ狸@秋田

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