2週間、書くことが出来ませんでした。3月11日は丁度、組合の大会で東京におり、電車が止まった街中を歩いてホテルへ向かいました。永田町から赤坂へ、日本の中心はパニック映画さながらに、人々が避難し、上空をヘリが飛んでいました。会場で青森高教組の谷崎さんをはじめ、宮城や福島の先生方がすぐ連絡を取ろうとしましたが、全くとれず心配が募りました。しかし、これほどの大惨事になるとは想像も出来ませんでした。私は月曜日の飛行機がとれ、何とか帰ることが出来ました。その後、刻々とテレビに映し出される映像に声も出ず、ガソリン不足で不満を言っているくらいの秋田で何も出来ないもどかしさをかみしめていました。そして、高生研のメールで送られてきた原発を告発する文を読んで、報道される東京電力幹部の対応に憤りを感じました。もちろん、政府にもです。
(http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html#page20)
高生研の皆さんからのメールなどで、東北の先生方の無事を知ることが出来、うれしかったです。連絡が付いた中で、岩手の中先生からメールが届きました。以前紹介した、中先生の生徒の話です。大学の入学式で述べる宣誓だそうです。先生の了解を得て、以下に紹介します。
「東日本大震災の恐ろしい傷跡が残るなか,多くの方々のご協力のもと,本日私たちがこの長い歴史と伝統のある○○大学に入学する日を迎えられることを誇りに思うと共に,今感謝の気持ちでいっぱいであります。
被災地,被災者には世界各国から支援の手がさしのべられています。日本の復興に向けて世界の英知が結集され,ひいてはそれが持続可能な社会への第一歩となることを,今私は祈るしかありません。
これから始まる大学生活において,本学の教育理念を遵守し,また今回の災害で改めて感じた命の尊さを胸に,学業に精励していくことが,生かされた私たちに出来ることだと思っております。
日本と世界をつなぎ,人種を越え,社会や人のために貢献する人材になれるよう,日々研鑽を積んでいくことを誓います。」
中先生によると、入学式が行われるかはまだわからないとのこと。幻の宣誓文になるかもしれません、ということです。
そして今日、さらにメールが届きました。「本日,A,Bをはじめ,10人が学校に来ます。学校でやる最後のクラス会です。生徒会長(彼の答辞は誰よりも長かったが,立派でみんな涙した)が大学に合格して,お祝いをしていなかったからです。あいにくの雪ですが,めいっぱい楽しみます!」AとBは、中先生のレポートに出てくる2人の主人公です。
生き残っても就職取り消しになる生徒もいます。大きな災害のなかった秋田でも、これからの景気不安から取り消しになった生徒もいます。本当に東北はまだ冬です。雪が積もり、冷え込む一方の東北です。被災地の方々のご苦労を思うばかりですが、中先生の生徒たちは、きっと夢と希望を語り合ったのだと思います。復興まで何年かかるか分かりませんし、原発を考えると悲観的になります。しかし、私たちは生徒たちに希望を与え続けなければならないと思います。政府には、せめて子ども達に、夢と希望を持たせて欲しいと思います。 入学式を1週間後に控えて、現実への対応に追われ始めました。
とらぬ狸@秋田