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2月20日 ホットな名古屋の話題②-トリプル投票・その2

 前回(2月6日)に引き続き、愛知県知事選・名古屋市長選・名古屋市議会解散の住民投票、いわゆるトリプル投票の話題です。結果はご存じのように、河村陣営の圧勝でした。(前回はイニシャルで記述しましたが、今回は実名で行きます。箇所によっては敬称を略します)

 まずは得票率(推薦、支持政党)。名古屋市長選=河村(減税日本)69.81%、石田(民主、社民、国民新、自民愛知県連)22.85%、八田(共産)4.89%、杉山2.44%

 石田氏(民主党衆議院議員、元犬山市長)、八田氏(元参議院議員)、杉山氏(市会議員)と、知名度のある対抗馬を、河村氏はぶっちぎったわけです(みんなの党と公明党は自主投票)。ちなみに、石田氏は、全国一斉学力テストに犬山市が不参加をした時の市長です。共産党陣営にも石田氏を推す動きがあったのですが、協定が不調に終わり八田氏を擁立した経緯があります。しかし結果論ですが、得票数から考えて、石田氏の1本化に成功していたとしても河村氏の足下にも及ばなかったと推測されます。それほど河村氏は「怪物」なのです。

 次に、愛知県知事選=大村(日本一愛知の会、自民の一部、公明)50.04%、重徳(自民愛知県連)18.20%、御園(民主、社民、国民新)16.25%、薬師寺(みんなの党公認)10.80%、土井(共産)4.71%

 河村氏の盟友大村氏が、やはり半数強の票を得て圧勝しました。大村氏は自民党の衆議院議員で愛知県連会長、自民を離党しての出馬でした。いわば自民に背を向けて河村氏に合流したわけです。そのため自民が分裂状態となり、県連としては重徳氏を推薦するものの、一部は公然と大村支持で動きました。党本部も当初は、石原幹事長が除名処分も検討すると言っていましたが、その後どうなったか報道されていません。応援に来た「大物」の中には大村氏を推す人もいました。

 そして三つ目、名古屋市議会解散を問う住民投票=賛成72.34%、反対26.28%、無効1.37%

解散賛成が4分の3弱、つまりこれまた河村陣営の圧勝でした。これにより、3月13日(高生研東海ブロックゼミの日)に市議選の投票が行われることになりました。ちなみに、解散反対が多かったとしても、4月の一斉地方選挙で、愛知県議選とともに市議選も行われることになっていました。たった1カ月といえ「解散」を名古屋市民は選んだのです。

 河村-大村陣営の主な公約は、前回もお伝えした「議員報酬半減」と「恒久減税」及び「中京都構想」です。長引く不況、就職難、デフレ…、それを何とかしてほしい、そういった人々の願いが2009年衆議院選挙での政権交代につながったわけですが、その後の1年ちょっと、高校授業料無償化など一部に前進はあったものの、基本的にそれまでの自民党政治を踏襲し解決の見通しを提示し得なかった民主党に、人々はNOを突きつけた。そして「議員報酬半減」「減税」という、いわば「分かりやすい公約」に誘われて、何とかしてくれそうだという期待、そして名古屋弁を駆使することで「地元」意識が喚起された人がいるいるかもしれない。そういったことが河村-大村陣営圧勝の背景にあったように思います。これは、「自民党をぶっ潰す」「郵政民営化」という「分かりやすい」スローガン・公約で圧勝した小泉政権と同じパターンと言ってもいいと思います。(いわゆる「劇場型選挙」)

とは言うものの、市民の期待に応えられるような市政、県政が実現できれば言うことないわけです。では現実はどうか。

 たとえば減税(公約は10%)。県税で見ると年収と減税額が次のように試算されています。(年収-減税額の順) 300万-1000円、500万-6300円、700万-12100円、1000万-21900円(2月16日付「中日」)

 つまり低所得者にとっては、ほとんどメリットがないのです。

 次に、減税額(愛知県350億、名古屋市161億)をどう捻出するかの問題があります。公務員の削減は間違いなくやってくると思います。福祉の切り下げも考えられます。

 今、認可保育所の児童1人当たりの基準面積を切り下げる動きが出ていることをご存じでしょうか。国は最低基準として3.3平米(0~1歳児)と決めているのですが、全国の知事47人のうち41人がそれを緩和せよと厚生労働省に圧力をかけているのです。理由は「待機児童解消」です。小泉内閣のもと最低基準ギリギリまで児童を詰め込む政策がすすめられたことで、2001年以降、認可保育所での児童死亡事故が急増していています。つまり3.3平米でも狭すぎるのに、それを引き下げよと全国の知事たちは言っているのです。(http://www.youtube.com/user/janemay95 で分かりやすく報道されています)このような福祉切り下げが、今後あちこちで起きるかもしれません。

では市民県民の要求はどうか。中日新聞の世論調査(1月28,29日実施)によると、「新知事に取り組んでもらいたい政策を3つ」選ぶという問に対して、福祉・医療の充実54%、景気・雇用対策53%、教育・子育ての充実38%、減税31%、事業仕分けによる無駄の削減24%、議員報酬・定数の見直し20%、知事・職員給与の見直し15%、名古屋市と連携した県政運営6%、県境を越えた広域連携3% と答えています。

 つまり、減税は4位、議員報酬は7位で、それよりずっと多くの人が福祉・教育、雇用対策に期待しているのです。名古屋市との連携(つまり中京都構想)や、県境を越えた広域連携(つまり道州制)に至っては、90%以上の人が関心を寄せていないのです。

国民の期待を背負って登場したはずの小泉内閣が、逆に国民の期待を裏切って、今日の不況、就職難、福祉切り捨てを招いたことを教訓に、市民県民の期待を背負って登場した河村市政、大村県政がその期待を裏切らないことを切に願う次第です。が、小泉内閣の轍を踏みそうで心配。

 次回私の担当は3月13日、市議選投票日です。今回のトリプル選を通して教育に携わる者として私なりに考えたことを述べたいと思います。(続く)

 久田晴生

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