今年の2月に私のクラスだったAさん(23歳)から連絡があり、現在の仕事のことと転職のことで相談したいと言うので、学校に来るように話した。
Aさんは専門学校を出てトリマーの仕事をしていた。しかし、労働条件が過酷なことに不満があり、家計を助けるためにもう少し安定した仕事を求めていた。話を聞いてからすぐにジョブカフェ群馬の高崎サテライトに電話をさせて面接のアポイントを取らせた。
その後しばらくして知り合いの高崎サテライトの相談員から、Aさんは何回かの相談を経て、現在ある会社で働いているとの連絡があった。
「若者への就労支援を考える」の報告者である瀧口典子さんは、このサテライトで相談員をしている。瀧口さんはかつて沼田女子高校定時制と玉村高校で社会科の教師であった。退職後も地域でさまざまな活動を行い、大学でも非常勤講師として教職をめざす学生の指導もしているが、いちばん力を入れているのがジョブカフェでの相談だそうだ。
この分科会では瀧口さんたち相談員がやっている若者と仕事をつなぎ方について、瀧口さんに報告してもらい議論する。
高校を卒業して正規雇用労働者になった者たちが、諸事情からすぐに退職してしまって、不安定雇用の就労に入っていくのを私たちは目の当たりにしている。「会社に謝罪にいかなくては」「後輩の採用に影響がある」のような教師の発言を耳にする。彼らがなぜ辞めたのか、辞めざるを得なかったのか
が話題になることはほとんどない。
この分科会は私たち現場教師がやっている進路指導やキャリア教育なるものの課題を浮かび上がらせるものになるだろう。同時に若者たちが希望を紡ぐ物語をかいま見せてくれるだろう。
分科会での報告を瀧口さんに勧めた船橋聖一