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熊本発<6月学習会報告・レポート編>

問い、悩みながらの授業づくり(前編)
深久 史朗(公立高校)
 2年生のあるクラスでの数学の授業づくりについての報告です。
 昨年、どの授業でも「お手上げ状態」で、教室後ろに交替で学年の先生方がついていてやっと授業ができていた。成績不振で数名が学校を去らざるをえなかった・・・等々。どの先生からも「とにかく大変だった・・・」との声を聞いた。
 今年度4月当初「昨年とはうって変わって本当に良くなった」という周りの先生方の話に、昨年の話は本当だろうか・・・と思っていた。ところが、中間考査が終わった5月末から立ち歩き・私語・授業妨害・・・が出はじめる。自分なりに工夫した授業構成で自信があっただけに(他のクラスではうまくいっている)、困り悩んだ(他の教科の授業でも同じ状況だったことがちょっとした救い)。高生研でMさんからの「授業妨害は、生徒の授業批判の表れ。生徒に聞いてみては」とのアドバイスに、私なりに丁寧に聞く姿勢は見せたものの、何も出てこなかった(ちなみに、問題行動を起こす生徒たちとの関係は良好、休み時間や放課後の会話や希望補習やったり)。
 授業は以下のような流れで進めている。
① 本日のテーマを提示、ノートに書かせる
② 例題を生徒たちと、発問と応答を繰り返しながら、解く
(生徒のペンは置かせる。「考える・理解する」と「書く」を明確に区別する)
③ 質問がないか、理解したかどうかを「○○くん、どう?大丈夫?」など言って確認する。「うーん、いまいち」とか言われる場合はもう一回やる
④ 例題をノートに書かせる(板書を見ながら)
⑤ 各自で教科書の練習問題を解かせる。苦手な生徒には支援を意識的にする。
⑥ 生徒は、分からない場合は周りに聞いて教えてもらってよい
⑦ できた人は手を挙げる→教師が丸をつける→本日の授業は「合格」。平常点に加味
⑧ 演習プリント(宿題)をもらってやる
⑨ 9割方の生徒が終われば、次へ進む(途中の人は放課後やあとから持ってくる)
 クラスは全員で20名(男子7名。元気がいい5名とおとなしく静かな2名。女子13名)。男子は数学が苦手な生徒が多いが、授業には積極的(当初は)だった。女子は数名苦手な生徒がいるものの比較的理解が早い生徒が多い。授業規律が乱れていった経過は以下のような感じ。
●②,④,⑤のとき、私語をし出す。
 始めの頃は注意したらやめていたが、だんだんと激しくなる。
 ぼーっとしている、寝ている(もちろん起こそうとするが)
●③は写すだけになる
●⑤のとき自分で解けない。もしくは最初から解く意欲を見せない
 (ついてやれば解ける場合もある)
 そのような中、1回目の授業停止事件。私が切れて、説明と板書を突然やめて、「君たちが授業者の私との約束を守れないなら私は授業をする気になれない」と言って、その時間はそれ以降授業をしなかった。あとで、勉強の良くできる生徒(学級委員)から「飛ばしたところをきちんやってほしい」とクレームがあった。その次の授業ではしばらくは静かになるが、すぐに元の黙阿弥。
 そして、衝突が起きた。切れた私が大声で「オォイ!!」と怒鳴ってしまった。それまで穏やか人間だった(演じてた?)深久が切れた?!生徒たちは皆驚いたことと思う。当のA君はふてくされて突っ伏して寝てしまった(フリ?)。授業の最後に次回アンケートを取る予告をして、その時間は終了した。
 次の授業で、以下のような話をしてアンケートを配布した。
「前回の授業で、話したようにアンケートを取ります。『あなたたちの数学の力はスゴイ。2ヶ月間の授業から深久は確信し、それを断言できる』この言葉にウソはありません。そして、今2年2組の授業は危機に陥っていると、私は認識しています。「そんなおおげさな」皆さんはそう言うかもしれません。しかし、これまで数々のクラスで授業してきた私には、そのことが分かるのです。
この状況を解決するには、深久一人の力では無理だと判断しました。現に前回、あろうことか、この学校に来て初めてあのような「不快感丸出しの怒り」を露わにし(ダサくて最低です)、その結果が「A君のあの態度」(一つの例としてです。A君ゴメン)です。
 これから先もし、それでもなお、深久一人の力で授業をやろうとするならば、「A君のあの態度」はつづき、結局は進級できないという結果が来ることは目に見えています(1つの例としてです。A君ゴメンなさい)。
 しかし、もし、この2年2組の皆さんの中に「ちからを貸してくれる人」が現れるのなら(その人はひとりでも多くいると助かりますが)、そのような状況も回避できるかもしれない」
 アンケートの内容は、「授業中に『授業と全く関係のない私的な話が、注意を受けても延々と続く状態』をあなたは、どう感じますか、どう思いますか、どう考えますか」という質問と、「サポートティーチャーをやってもよいという人は丸をつけて下さい」の2つだけ。
 生徒の書いた答はすべて打ち出して皆に返し、今後の授業を考える機会にしたい旨を伝え書いてもらった。生徒たちの返答は、以下のようなものだった(抜粋)。
・真剣に学びたい人にとっては迷惑だと思う。(Mさん)・うるさくてイライラする。集中できない。空気を読んでほしい。自分もだけど注意する人がいない。(Gさん)
・うるさくて、授業に集中しにくい。なんで注意されたのにまた、話すんだろうと感じた。(NBさん)
ダメだと思う。(A君)・しずかにしなきゃいけない。(H君)・昨年に比べたら全然ましになった方だと思うし、気にならない。あと、昨年のテストはこばかにしたテストって先生は言ったけど、2組の男子はそれでみんな助かったから、別に悔しいとか思っていません。自分は昨年のテストでよかったと思う。(O君) 
 (以下、後編(「スコブル」次号)に続きます)        (ふかひさ しろう)

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