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TPPではなくTP参加

                                           東京高生研 上條隆志
教師になったころと今と比べて、一番変わったと感じているのがLHRのあり方です。前はどんな学校でも、LHRは生徒自身のものであり、生徒が自主的に計画を立て実行するのが原則でした。従って連絡はすべてSHRで済ませます。それが、生徒会から降りてきた議題を討議する以外は、進路ガイダンスか教師の講話など大多数が「先生の時間」に変わってしまいました。生徒の企画は、遊びとか、散歩とか、食べ物をつくるなど多くなりますが、それも楽しい。もちろん教師からも提案して討論もしますがあくまで生徒の議決を経てです。私も脳裏に浮かぶのは高校時代の「男女手つなぎおに」のあのほのかなときめきです。
 さて前回に続いて、物理の授業です。生徒からみんなで何かやりたいの声が大きくなってきました。物理のレパートリーには「電気パン」「べっこう飴」「綿あめ」がありますが(クラスで文化祭に物理縁日というのをやったことがあります。メインは黒板消しクリーナーを密かに分解してつくったホバークラフトです。)みんなの意見は、ぜひ学校でたこ焼きをやってみたい、ということでした。うーむ。さいわい物理実験室は強力な電源を備えています。いきましょうか。
 誰か準備を担当してくれるかなの声に答えて、数名の実行委員会ができあがりました。ことは秘密を要します。他に口外せず知られず進めることにします。たこ焼き器数台を家から持ってくる人を決めること、材料、調理器具、石鹸などの調達があります。計画進行状況を共有しなければなりません。黒板で連絡しますが、符牒を決めましょう。タコヤキパーティーの頭文字をとって「TP」でどうか。これには爆笑。以後しばらく流行語となりました。「今日、TP参加についての話し合いがあります」
 さて当日、5時間目なので昼休みから準備開始。数名が近くのスーパーに買い出しに。教室の廊下側は締め切り、においが洩れないように工夫を凝らします。たこ焼き器を囲んで談笑しながらみんなでつくります。いい手つきです。Kさんがにこやかな笑みを浮かべながら「最初に焼いたのは先生に食べてほしいので」と持ってきます。うれしいなあと一口でほおばると、なんとわさびが充填されています。鳴り響く携帯のシャッター音。これが若者の得意ワザですね。チョコレートとかいろんなものを入れています。
 ギターで歌を奏でる2人。「先生の曲を作ったので」と演奏してくれましたが、歌詞がないのでほめているのかけなしているのか分からず。
 私は食中毒を起こしてはいかんと老婆心から「そこまだ早い!もっと焼いて」と注意して回ります。こういう企画の楽しみはいろいろな個性の生徒がそれぞれの良さをどのように発揮するかをみられるところですね。「やっと高校らしい思い出がひとつできました」とはある生徒の言です。

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