2月12日,茨城県坂東市にある妙安寺(真宗大谷派の浄土真宗のお寺)で行われた「今
泉先生を囲み話す会」に初めて参加した。妻の友人からの誘いで,妻が「一緒に行く?
」と言うので,ヒマだし,たまには坊さんの「ご法話」とやらを聞いてみるのもいいか
な,と思って参加した。
今泉温資(としし)先生は,新潟県のお寺の住職で,12年前から毎年この時期に妙安寺
に来ていただいているそうだ。下手な大学教授の講演よりずっといいお話だった。印象
に残った点をいくつかご紹介する。
1.言葉は丁寧にゆっくりと明瞭にメリハリをつけて話されたので,とても聞きやすか
った。時に熱く語りすぎ,こちらがちょっと引いてしまうこともあったが。
2.「不断煩悩得涅槃」つまり「煩悩(悩み)を持った状態で,涅槃(安心・解脱)を
得る」というのが親鸞の教えで,「人間,いくつになっても,どんな境遇にあっても,
悩みは絶えず,その状態のままで涅槃を得る」のが浄土真宗であるとのこと。なるほど
!
3.「悲しみを,共に悲しみ,共に涙す,君に救わる」(記憶が正確でないかもしれな
いが)という詩を紹介し,人は,下手な励ましよりも,共に悲しみ,共に涙する人がい
ることによって救われるものだとのこと。今泉氏は,2月13日,福島県二本松市にキム
チ作りのボランティア活動をしに行くそうだ。
今泉氏のお話の後,お寺の住職の娘さんが,石巻の被災地支援の話をした。その中でと
ても印象的だった話がある。何回か石巻に行っていて,あるときオバチャンにこんなこ
とを言われたそうだ。「私たちは椅子がほしいとか言うけれど,本当は椅子がほしいわ
けじゃないのよ。菜々ちゃん(娘さんの名前)の顔が見たいだけなの」 一見「何言っ
てんの?」と思われてしまいそうな言葉だが,これはオバチャンの本心なのだろうなと
思った。今泉氏の「人は,下手な励ましよりも,共に悲しみ,共に涙する人がいること
によって救われる」に通じる話だ。オバチャンは,共に悲しみ,共に涙する菜々ちゃん
の存在によって救われているのだろう。一回行くのに30万円かかるので,支援活動に協
力してほしいという菜々ちゃんの訴えに,「石巻・震災前と震災後」という写真集と小
さな数珠を買って協力した。2月22日,菜々ちゃんはまた石巻に行くそうだ。
(茨城のイソヤマ)