「学ぶことで、目では見えないことが見えてくる。どんどんイメージが膨らんでくる。物理が嫌いだった私が、もっと学びたいと思う。――
ある日の学級日誌より。
京都の「ガリレオ」こと、栗木 久氏のアクティヴ・ラーニングな授業実践は大変刺激的だ。栗木氏曰く……
「国外ではノーベル物理学賞を受賞したファイマンをはじめ、さまざまな学者が、シンプルな図と最小限の数式(算数)を使って、物理をわかりやすく説明している。自分の学校でもそのように教えることはできないか。日常生活で重要なのは科学的・物理的な考え方のはず。しかし、物理を受講する生徒のほとんどは「受験で必要だから」「理系の学部に進学するから」と選択している。そこで生徒から期待されるのは、教科書に書いてある公式をどのように使うのか、公式を使ってどのように問題を解くのかをわかりやすく説明する授業だ。生徒同士の教え合いを中心とした授業展開をすすめ演習の時間を多くとるようにしたところ、生徒の理解は深まったし、演習そのものを否定するつもりはない。しかし、やはり「現象の理解の深さ」という点では物足りない…」とこだわる栗木氏。
一方、文系コースの生徒が栗木先生の物理の授業で体験するのは「『わかり方』がわかる愉しさ」だ。「もっと身近なもので、身近な言葉で、ほとんど公式を使わずに物理現象を広く理解する手段はないものか」と考えていた栗木先生の挑戦は、文系コースの生徒の高い支持を得て、年を追うごとに受講希望者が倍増。それが「高3文系物理」。
栗木先生の分科会には、現在高校生として授業を受けている生徒、去年まで受けていた卒業生も10名以上参加する。教職志望の学生もいる。近ブロでは限られた時間枠だったが、全国大会では一日分科会設定としたので、私たち現役教師も、教科を越えて「学び手が学習過程で遭遇する困難の原因とそれを解決していく方法の探求」が可能になるはずだ。
栗木実践では、伝統的な授業形態では払拭することが困難な「誤概念(習ったはずの正しい概念を、経験的な自然発生的な思い込みによって間違って再構築したもの)」を学習者自らの手で克服していくことができると証明される!!「月9」で難事件を次々解決した福山演じる湯川帝都大准教授をはるかに越える、栗木氏の「ブレないこだわり」が静かに炸裂する。その現場に一緒に立ち会いませんか? 8月4日(日)9時、同志社高校102号教室集合! 京都 岸田康子