LINEはおそろしや…。

井沼淳一郎

大阪高生研恒例の「ぴらいち」が5月16日に行われました。今年の僕の報告です。いま、ほんとに頭悩ませてます。

1.久々の担任 遠足でダッシュ!

中堅総合学科のS高校生は、お行儀よく素直で手がかからない。こちらが仕掛ければ行事は簡単に「盛り上がる」。学年最初の遠足は、過去4回の「史上最強の遠足」で培ったアイデアをてんこ盛りした「当日お買い物つき、てっぱんイケメン!グランプリ」だ。学級代表・HR委員会に僕が活動原案を提案し、議論の上で彼らに修正案「グランプリの賞品を学級代表・HR委員が事前に各班から100円ずつ集め、購入しておく」を作らせる経験もさせ、終わってからは、目標に沿って総括会議、遠足ニュース発行と、セオリーどおりの自治活動を展開した。

このほかに自クラスには、遠足までに全員をフルネームで言えるように名前を覚える、というミッションを与えておいたが、それも本気に出来てしまっていた。さらに、遠足帰りのバスは、班を解体し、完全くじ引きで席を決定。最初は躊躇した生徒たちだが、「グランプリ発表」(学代HR委員)、「○○なMVP」記入(後日担任が集計して発表)、そしてクラスの先を見越したかのようなコミュニケーションゲーム「①あんまり知らない人と話が出来るゲーム」、「②相手のことをほめるゲーム」、「③自分のイヤなところを語るゲーム」と続き、最後に担任が、

「この遠足でこれまでよりもっと仲良くなれたね。でも仲良くなれば、お互いのイヤなところも見えてくるもの。誰でもイヤなところのない人なんていない。直したくてもなかなか直らないのもみんな同じ。だから自分のイヤなところを知ってもらおう。知った人は、今日からその人のよき理解者だね」と。うーん、完璧に決まったね!と思っていた…。

2.「今日は休みます」

体育祭も、応援うちわづくりそして恒例かき氷大会と順調に終えた、と思ったら、体育祭の翌朝、A子の母から突然の℡だった。「クラスの生徒さんとなんだかトラブルがあったみたいで、学校へ行けないと言っています」(ええっ!聞いてねえよお)「隠すより先生にちゃんと伝えた方がいいと思いまして」「わかりました。今晩伺います」。とりあえずこんなときはすぐに会って話を聞くのが一番。

A子は仲良くなったB子たちから「影で私のことこそこそ言ってるやろ」をきっかけにLINEで激しい口撃を受けていた。「私も、娘がこんなにきついこと言われてるのを知ってショックでした。お父さんは『一発殴ってやれ」と言ってます』と母。相手の生徒をあからさまには非難しないが父母とも腹に据えかねている様子。A子にLINEを見せてもらった。「先生、ながいで」と言われたが、こんなに長いとは…!!ほとんどワンフレーズのような感情的な言葉が延々と、夜中まで続いている。途中で何が原因だったかわからなくなってしまいそうになる。私は、「これは神経まいるわ」とげんなりしながら読み終えた。

A子は、こんなに「気まずい関係」になっては、学校へ行けない。ご飯もいっしょに食べられない。私のせいでグループを割ってしまうことになると悪い。で、学校を変わろうと思ってる。

(そこですかー!)、ネットで通信制高校を調べたらなんばに○○というのがあってよさげだ…。お母さんも「本人がこんなに悩んでいるなら、親としては応援するしかないかと…」

「ちょっと待ってくださいね。原因がどこにあるか整理しましょう」(ここは本音を率直に言って切り開くしかないなあ)

3.本当の気持ちは…

LINEでは、B子は「A子、ホンネを言えや!」と苛立ち、B子は「ごめん、ほんまに友だちでいたいと思ってる」を繰り返している。一読すれば、謝っているA子をB子が執拗に責めているように見える。だけど…。

「A子は、本当にB子と友だちを続けていきたいの?それとも自分からは関係を切る勇気がないから相手が離れていくのを待っているの?僕にはそうとも読めるんだけど」

「友だちでいたいけど、向こうが無理なら仕方ないと思ってる。」

「その程度なんだね。B子は、そんなA子のホンネが見えなくて苛立ってるんじゃないの?」

「……」

「友だちを続けるにしても、やめるにして、ちゃんと自分の気持ちを伝えないと、どこへ行っても同じだと思うよ」

お母さんは「先生の言うのは正論だと思います。でも親の気持ちとしたら、この子がこんなに悩んでいるのを見ていられない…」

「うちの娘にもよく言われます。お父さんは『何でもわかったようなこと言う』って」

その後、お父さんも帰ってきて、また一から話は繰り返された。ムダに思えるように見えて、実は同じ物語を繰り返し言葉にしていく中で、少しずつ動き出す。最後はお父さんもお母さんも、娘に「ちゃんと逃げないで気持ちを伝えてほしい」と願いを語ってくれた。

「お気持ちはよくわかりましたから今日はこれくらいにしましょう。明日、まだ無理ならまた℡下さい」といって、席を辞した。あしたはどうなるだろうか…。

※ホームルーム派教師を自認し、技を磨いてきた僕たちだが、やわらかくゲームやワークで「盛り上がる」ことも、固く自治活動で討議・決定・総括を指導することも、どちらも今どきの生徒の「人生の決断」(というか身の処し方「処世」)には、簡単に作用しなくなった。「気まずい」ことがすべてを壊すことになりかねない、自分が消えることでしか解決できない、今どきの生徒の世界に、先生という大人はどうかかわればいいのだろうか? それにしても、げにおそろしきはLINEなるもの…。

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