に投稿 コメントを残す

はじめの一歩!二歩めはそれぞれに。

3月1日、ちょっといいイベントが出来ました。「“イラク戦争10年とアフガニスタンの今を知る”はじめの一歩!」と題したそれは、国際理解を受講した3年生15人が自主的な卒業企画として行ったもので、当日は、地域の人たち含め50人以上の参加を得ることが出来ました。

国際理解は教科書のない(シラバスはありますが)、いわば担当者にすべてを任された授業です。試行錯誤のなかで15人が動き出したきっかけは、大阪ではおなじみのフリージャーナリスト西谷文和さんを招いての「アラブの春,イラク,アフガニスタン戦争を学ぶ2時間」からでした。
「ひどい状況でなぜ子どもを生むのですか?」「戦争はなくなると思いますか?」「私には何ができるのですか?」…15人からたくさんの質問が続きました。最後の質問に、西谷さんは「関心を持ち続けること」と答えてくれました。この言葉は彼らの胸に深く響いたようです。彼らはこの経験を自分たちで終わりにせずに「多くの人に知ってもらおう」と、冬休みを使って授業報告書を作成し配布を計画しました。

ところがいざ完成したときのことです。そのまとめ役だったIくんが2つの重大な問題提起をしたのです。
ひとつは、報告書の自分の感想を読んで、「オレ、こんなこと書いたンや」と他人事のように思ってしまう自分がいたという告白。Iくんは、みんなにも「もう1回、自分の感想を読んでみて」とすすめ、「関心を持ち続けること」が簡単なことではないことを教えてくれました。もうひとつは、この報告書は、西谷さんの話を聞いていない人に本当に伝えようという言葉になっていないという厳しい指摘でした。
Iくんの問題提起を受けて、僕が、ずっと関心を持ち続けられる第1歩になるような企画をみんなで考えてみよう、本当に伝えたいことを伝えられるような報告書にリライトしようと呼びかけ、3年生の残り少ない1月の授業を使ってイベント企画会議を行うことにしました。授業時間の活動は評価(成績)に入れるけれど、それ以後の活動は自由参加とすることにしました。

何度かの話し合いを重ねる中で、Sさんが「やっぱ、アフガニスタンの人に会いたい!大阪にいてへんの?」と言いだしました。
Yさんが「西谷さんの写真をたくさんの人に見てほしい。写真展できへんかな」と言いだしました。
いつの間にか「スライドショーをつくろう」という話もまとまり、友だちや在校生や保護者や近隣住民へのお誘い文やポスターやメールを作り、西谷さんから送ってもらった膨大な写真データからYさんが選んだものをみんなでパネルを手作りしたり、と、授業が終わって卒業が決まってからも3回ほど、集まれる人で集まって、わいわい楽しみながら準備を進めてきました。
当日は、アフガニスタン難民キャンプで生まれたレザさんをお迎えして、英語のスピーチの同時通訳にチャレンジしたり、サプライズの花束を用意したり、実行委員長のOくんに寄せ書きをプレゼントしたり(僕ももらいました)、僕の知らない間にいろいろな企画が生まれていてびっくり!

「関心を持ち続ける」秘訣は、自分たちが楽しむことだったのですね。それを生徒たちが教えてくれました。
さらに、今回の企画を通してあらためて認識したこと。高校生の学びを高校生自身が発信することは、世の中の大人たちを励まし、感動させる力が十分あるということです。高校生にとっても自分の学びが市民に評価されることで大きな自信が生まれます。高校の授業って、もしかして僕らが考えている以上にすごいことやってるのかも。

井沼淳一郎

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください