長野県 小澤彰一(木曽青峰高校)
安倍総理は「戦後レジームからの脱却」と言った。これは憲法・教基法体制を捨て、元に戻すという意味である。先の政権では教基法を改悪した。現政権の施政方針は、6月の参院選を控え抑制的であるが、やはりその爪は隠し切れていない。
戦後教育とは新しい時代の主権者を育てる教育実践運動である。戦前にも水源を持つ民間教育団体が50年代に一斉に設立された。第一世代は戦争をかいくぐって新時代を迎えた教師たち。第二世代はその教師の下で熱く学ぶ生徒であった教師たち。第三世代が今退職期に入っている。
民研の「人間と教育」がこの第一世代からの聴き取りを連載した。対象の一九人の中に長野県の山岸堅磐氏が紹介されている。氏の軽妙かつ情熱的な語り口が紙面に踊って嬉しくなる。それをまとめた『ある教師の戦後史』の出版記念会が法政大学で開催された。竹内常一氏と一橋大の藤岡貞彦氏が基調発題し、藤岡氏は、彼らに共通するのは、教組運動特に教研、教育課程の自主編成、学校と地域を結ぶこと、という三点に関わってきたことと評した。
さて、次世代に何を引き継ぐかが問題だ。この春も多くの教育実践家が職場を去る。希望に燃えてめざした体制が忌み嫌われて捨て去られ、再び先人の闘争を繰り返すのか、繰り返せるのか。
比叡山大会の熱気は戻せないにしても、新高生研体制の実質第一回大会、京都大会に期待するところは大きい。