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現実感をもって英文法を学ぶ

 比較表現を学んでいる最中の復習小テスト。私が英作文問題を日本語で読み上げて、生徒たちがそれを英語に直して書くのですが、「利根川は日本で一番長い川です。」と問題を読み上げた時に、Hくんが「えっ?」と声をあげました。
私「違った?私、間違えた?!」
Hくん「利根川は二番目。一番長いのは信濃川。」
私「あーそうなの?信濃川!みなさん、英文を直して~!The ToneではなくてThe Shinanoを主語にしてください。」
Hくん「利根川は流域面積が一位。」
私「Hくん、さすがやな~。」(Hくんは釣りの名人)
ゴシゴシという消しゴムの音と共に、「長いのは信濃川なんや~。」「知ってた?」等々のつぶやきが聞こえてきます。
 英作文の教材を創る際に大切にしているのは、例文として使う英文や練習として生徒に創ってもらう英文が本当に現実を語るものになっている、といういうことです。
 ”I”の扱い方にも気を遣っています。問題集には無数の”I”を主語にした英文が載っていますが、実態のない”I”ではなくて、現実のここにいる”I”を主語にして、その”I”の事実を英語にしてこそ、言葉が学習者に獲得されていくのだろうと、私たちは考えているのです。この方針は、比較級を使う練習の場合ですと隣同士で背比べをして、”I am taller than ~ .” あるいは “I am shorter than ~.” という表現をする、仮定法の練習ですと「もしもこの学校の校長だったら、私は~する」という表現をそれぞれが工夫して創って発表し合う、という風に生かされています。授業の中で新たに学んでいく教科内容の文脈に自分が乗っていると感じた時に、生徒たちは予想外の集中力と思考力を発揮してくれるということを、日々実感しています。

(京都 田中容子)

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