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わしらにはこの味がたまらんのじゃあ

 大阪の中村です。

 全国大会の楽しみのひとつは現地ならではの風物に触れること、とりわけご当地料理の試食だ。

 名古屋といえば、味噌煮込みうどん、あんかけスパにきしめん、味噌カツ…台湾ラーメンも。

先づは、味噌煮込みうどん。うどんと味噌のコラボは山梨富士吉田の「吉田うどん」他あるが、ほとんどはうどんが主で味噌が脇。だが味噌煮込みうどんは、汁の味噌が決め手、味噌が主役といえる。

「どうして味噌の印象が強いんでしょうか?」

 「そりゃ、八丁味噌を使っとるでよ~」

 八丁味噌とは愛知県名産の味噌。愛知県岡崎市の岡崎城から西に八丁(約800メートル)離れたところにあった八丁村(現在の八帖町)が発祥の地なのでその名が付いた。酸味が強くかすかな渋みがある濃厚な味噌だ。

 赤味噌や白味噌などは各地域でさまざま作られているが、この八丁味噌は県内でも「カクキュウ」「まるや」の2社ぐらいでしか生産されていない。

 因みにおいしい味噌の3要素というのがある。水、大豆、塩がそれ。この地は花崗岩地質で水がおいしく、矢作大豆と良質の大豆が獲れ、矢作川の水運のおかげで良い塩が手に入った。それで八丁味噌が誕生した。

 

 八丁味噌は熟成まで3年かかる。この味噌が初めにあってそれに合ううどんを作った結果、主役と脇役が入れ替わったのでは!?と、僕は勝手に考えている。

  名古屋に着いて「味噌煮込みうどん」なら『山本屋総本家』か!? 栄にあるここが店舗として最初に味噌煮込みうどんを出した店とか。うどん屋というよりちょっとした料亭のような店構えだ。

 ここの味噌煮込みうどんは八丁味噌と白味噌を合わせてつくる。だしは昆布とカツオ節と椎茸を煮出した一番だしに、この一番だしを取った後に煮干しを加えて煮出した二番だしを加え、醤油みりん等で味を調える。煮立ったら麺と油揚げ、椎茸、かまぼこ、鶏肉、タマゴなどを入れて煮込む。さぞや軟らかな麺に?と思いきや、がっしりとした硬い仕上がりだ。それにしてもアツアツのうどん!?器も熱いので手も口もヤケドしそうだ。

 「まあ、よその土地の人にゃあ、この八丁味噌の酸っぱさが合わんかもしれんのう。わしらにはこの味がたまらんのじゃあ」と地元民に言われそうだ。(大阪 中村貴彦)

わしらにはこの味がたまらんのじゃあ」への1件のフィードバック

  1.  地元の人間も知らないことを、こんなにも詳しく紹介していただいて、ありがとうございます。私は京都にいたときもずっと「カクキュー」の赤だし味噌を使っていました。京都の白味噌は頼りなくて使う気がしませんでした。

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