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いま わたしにできること は?

愛知高生研の柴田です。久しぶりですが、第2回目の原稿を送ります。

東日本大震災が起きて、間もなく1カ月です。新聞を読んでいると、被災地の皆さんが、多くの困難や困窮に直面しておられ、多くの悲しみや苦悩を味わっておいでの事がわかります。

福島原発の事故も、放射能による土壌汚染や海水の汚染、農民・漁業者の皆さんの暮らしへの深刻な影響など、被害が広がりこそしていても、なかなか終息のめどは立ちそうにありません。

被災によって亡くなられた方や安否不明の方の人数も、日を追って増えて行くばかりです。4月9日付朝日新聞の報道では、その合計数はとうとう3万人を超えてしまいました。被災地の皆さんの事を思うと、本当に胸の塞がる毎日です。

その半面で、被災地の方々が困難にめげず、励ましあいながら再生のあゆみを進めておいでになる報道に出会うと、心が温かくなります。避難所で、小学生や中・高生が役割をすすんで引き受けながら活動している様子には心を打たれます。

そういう状況の中で、震災以後、テレビ放送で、急に本数の増えたACのコマーシャルが流れてきます。「いま わたしにできることは 被災者の身になって考えて見よう」。その通りだと思うのですが、いま、愛知の地にいて、何ができるのか、何をすればいいのか、本当のところはよくわかりません。心は痛むのですが、心を痛めているだけではだめだというメッセージが、続いて流れてきます。「心は誰にも見えないけれど、心づかいは見える。思いは見えないけれど、思いやりは誰にも見える。」これ又その通りだと思うのですが、痛む心や思いをどのように心づかいや思いやりに具体化したらいいのか、私にはよくわからないことばかりです。

自宅の近くに若い女性のバイオリニストがいます。彼女は、最近は東京で演奏活動をしているのですが、震災で出演予定が次々と中止になり、実家へ戻ってきました。彼女も名古屋にいて何ができるのか考えました。そこで近所の小さな喫茶店で、被災地への義捐金を募るコンサートを開きました。4日間で100人ほどの人が参加し、数万円の義捐金が集まりました。彼女の心映えや行動はとても素晴らしいと思います。でも、私自身はコンサートを聴きに行って、ほんの少しばかりの被災地支援金を彼女に託しただけです。もっとできること、やるべきことがありはしないかと、自分を責めたくなる日々です。そして、こんな思いにとらわれている人も少なくないのではないかと思います。

幸い、来週から、非常勤をしている大学で、授業が始まります。また、初対面の若い人たちと、少しばかりの時間をともにすることができます。彼ら、彼女らとともに、大震災をどのようにとらえたらいいのか、被災者や支援者の動きは、私たちにどのような人間に対する見方を提示しているのか、原子力発電の問題をどう考えて行くべきかなどを、対話しつつ考えていくことが、私の「いま すべきこと」なのかなと思っています。

秋田のとらぬ狸さんをはじめ、被災地や被災地近辺の方々、高校生や高校教師の方々の生々しい体験や、遠隔地の皆さんの支援体験や考え方などを、高生研名古屋大会やその準備過程で数多くお聞かせいただけるととても嬉しいと思っています。

 愛知高生研 柴田順三

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