東洋大学は大会会場として、とてもぴったり② 藤川 秀一
1日目の全体会2シンポジウム「学校に対話と討論を 18歳を市民に」は、昨年の名古屋大会で画期的な全体会運営を創り出してくれた望月さんがその再現、さらなる充実を実現するかと私は期待したのですが、残念ながら不発でした。原因はおそらく50回に及ぶ高生研全国大会の内容をわずか2時間で総括討論しようとしたところにあると思われます。少なくとも4時間は必要ではなかったでしょうか。それでも難しかったかも。森さんの提起論文「『集団づくり』の現代的継承を考える」同じく伊藤さんの「若者を、政治の主人公に」、さらには3人の「指定討論者コメント」、私は提起者・指定討論者の話しと文章をなぞるだけで精一杯で内容と何を討論するのかを理解するまでには至りませんでした。せめて応援ブログで事前に10ページにわたる文章に目を通しておくことが出来ていたらと思いました。
森論文の、「競争的・暴力的支配を内部に取り込んだ子供の状況に、『班』を教師が一方的な『指導』で機械的に位置づけるのでは管理主義に陥り、形式的・抑圧的なものになるだけだ。」については、松本レポートのように実践の始まりとしては、『班』を教師が一方的な『指導』で機械的に位置づけることも必要なのではないでしょうか。また「リーダー(核)」とリーダーと核をイコールと捉えることは、宮崎の山下先生が提起しているように再検討してもいいのではないでしょうか。
夜は京都の岸田・田中さん主催の交流会「竹内常一先生の話を聞く」に参加しました。豪華なフランス料理とワインを堪能しながらの楽しい会でした。酔ってしまわないうちにまず熊本高生研の皆さんを代表して、竹内先生が今までに熊本高生研の大会に少なくとも3回以上講師として来熊して頂いたことに感謝の念を申し上げました。沖縄の比嘉大先生と比嘉小先生も交えて談論風発しましたが、印象的だったのは私が「シティズンシップの論議」の登場はそれ以前の高生研の流れからすると違和感があると言うと、賛同してくれる方がいて「俺だけじゃなかったんだ。」となんだか嬉しくなりました。
以上が私の分担でしたが、それ以外でとりわけ心惹かれたのが問題別分科会の「ケアが必要な子どもがいる学級・HRづくり」の原田真知子さん(神奈川・小学校)のお話し「『いろんな人がいる』が当り前の教室に」でした。詳しくは松永さんが報告してくれますが、我々高校の教員にも訴求力のある普遍性を持つ実践でした。そのうち是非熊本にも来ていただいてお話しをして頂けたらと思います。
またこの分科会で同じ班にA大生のKさんとOさんがいました。私はお二人のうちのどちらかに班長をやってもらいたくて次のように説得しました。「班長の役割は班員から出た意見をうまく纏めて発表することだと受け取られがちだが、そうなのだろうか。纏めるのは実は大変難しいし、纏めようとするとどうしても自分の主観が入ってしまう。そうではなく纏めようとするよりも、班員の中で特徴的な意見を、班長が注目すべきと考えた意見を、発言した本人に発表してもらうよう指示?お願いする、すなわち班長は纏め役というより調整役と考えた方がいいのでは」と。そうしたらKさんが引き受けてつつがなく班長の役割を果たしてくれました。私は40年来班を使った二重討議方式を当たり前のように考えてきましたが、ここいらで高生研はなぜ二重討議方式を重視してきたのか、二重討議方式における班長の役割とは何かをもう一度問い直す必要があるのではと考えますが、皆さんいかがでしょうか。(ふじかわしゅういち)(おわり)