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「『定年まで』働くことのリアリティー」から考える現場や高生研

 日教組の月刊の機関誌(月刊JTU4月号)に表題括弧の特集が組まれていた。
 まず、このタイトル「『定年まで』働くことのリアリティー」を見たとき2つのリアリティーについて考えてしまった。その1つは、おそらくその特集の主旨だろう「教育現場の過酷な状況が定年まで働きにくくしている」ということ。(生徒指導や進学指導で過酷な教育現場を思い浮かべてしまった。)そしてもう1つは、「今や『定年まで』働くことのできる職業自体が非現実的であるのかもしれない」ということ。(現に教職に就いている者として、自虐的な視点であろうか。)
 特集の内容を読んでみると、前者であることがすぐ理解できた。そればかりか、興味深い内容が取り扱われていた。簡単に要約すると次のような内容である。
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①日教組が行った『教員の働きがいに関する意識調査』を、様々な一般企業労働組合の「働くこと」に関する意識調査の結果と比較、分析している。
②その結果、教職員の働きがい感は一般企業従業員のそれよりも遙かに上回っている。
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③しかし、そういった仕事を続けたいという意欲は、教職員の側が年齢と共に下降する一方、一般企業のそれは徐々に上昇し、50歳代以上ではほぼ拮抗する。
④特に、40歳代から50歳代の教職員の落ち込みは激しい。
⑤男女で分けて見た場合、50歳代で仕事を続けたいという意欲は、一般企業の女性従業員が女性教職員のを逆転している。
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⑥また、働きがいの内発的充足(仕事が楽しい)と外発的充足(休暇、労働時間の充足度)を比較し、教員の働きがいはバランスが良くないと指摘している。
(『教員の働きがいに関する意識調査』で検索。http://www.jtu-net.or.jp/survey11.html)
 紙面には、これに関しての教員と研究者との座談会が取り上げられ、教員からこんな指摘があった。「(静岡県教組の研究所の調査、『50代というのはサポートが受けられない』という結果がある)50代になると、ベテランだから同僚からのサポートも別にいらないでしょ、というような感じになってしまって、いろいろきつくなっているのに、見過ごされている部分が多いのかな、と。それが、50代でガクッと意欲が落ちる原因の1つであるのかなと思います。」 さらに、国際経済労働研究所研究員はこんな分析を加えている。「年齢が上がることに、特に男性は、児童生徒との関係が困難になる、という結果が出ているんです。女性はその点、ソーシャルスキルが高いといいますか、子どもたちとの関係性の面では、年齢とともに下がるということはありません。男性は年齢が上がるごとに、ジェネレーションギャップをうまく処理できないのか、子どもたちとのやりとりに難を感じるようになる。」座談会は、「燃えつきない」ための労働条件整備とサポート体制について組合が機能していくべきだと締めくくっている。
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 このような内容をなぜ取り上げているかというと、まさしく明日は(今も?!)我が身を感じているからだ。現場で働いていて「歳やなぁ」と年齢を意識したり、落ち込んだり、「確かに言わずもがな」の内容であるが、このように分析されると少し視界が広がるような気がする。何か手の打ち方があるのではないかと。家庭も職場も見据え、ジェネレーションギャップやジェンダーの問題をどう越えていくか?
 一見、「未知なるもの(例えば年齢差のある生徒世代とのコミュニケーション)をどう知るか」という問題であるように思う。そして、その方向には解決策は見いだしにくいようにも思う。世代差については様々なとらえ方があるだろうし、様相も多様であろう。「把握できた」と思ったところですぐずれが生じたり、裏切られるのではないだろうか。ならば、超える方法はないのか? いったいどうすればいいのか?
 思い出すのが「ポジショナリティー」と「多様性」という言葉であった。かつて、秋田大の望月さんが高生研の基調発題で取り上げ、公共性や政治参加の論考の中でもよく取り上げられる言葉がポジショナリティーである。当事者性を意識するとともに、自分の立ち位置を他者を意識した上で把握することと認識している。それから「多様性」は、岡村さんが討議空間づくりについて論考した基調で目にとまった言葉だ。多様な他者の受け止める場が保障されなければ、安心して生活したり、働いたり、生きていきにくい状況に陥るのではないか。
 わたしたちができることは、そんな場所や時間を共有できる関係づくりや環境づくり目を向け取り組んでいくことだと思う。組合的な環境整備(労働時間や休暇)はその先にあるのであって、まずは、多様性の保障する意識と空間が無ければ話にならないように思う。

<みえ高生研通信2012/6号から再編集> 
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