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学ぶ意欲が伝わった大学生たちの授業検討会

 私の勤務校では「学びの共同体」による授業改革・学校改革をおこなって4年目になります。数年前、大阪の全国大会でその状況報告をしました。学びから疎外されてきた生徒たちが学ぶことへの意欲をもつようになってきた実感はあります。今日は「学びの共同体」のもうひとつの側面、教師の「同僚性の構築」に関して近況を報告します。
 「学びの共同体」には「ひとり残らず教師の成長を保障する」という理念があります。その理念を実現するしくみとして本校では教員を6つのグループに分けて、どのグループも学期に1回は授業検討会を実施しています。他のグループの検討会にも出入りできるので、やる気があればたくさんの検討会に参加できます。6月はこの検討会5回と全校あげての公開授業研究会(注)があります。
 授業検討会は教師の指導の巧拙を云々するのではなく、生徒の「学びの事実」に焦点を当てた対話的な場を追究して実施しています。4年目に入って教師の世界も「学びの共同体」になったと言いたいところですが、人事異動による入れ替わりや同僚への必要以上の配慮もあり、断言はできません。でも、フツーの高校にはないOJTであることには間違いありません。
 そんななか6月6日(水)の午後、県立大学の学生22名が大学の教員3名といっしょに本校の授業を観察して、その後、授業検討会をおこないました。3月に福井大学教職大学院の研究会に参加して知り合った県立大学の准教授との間でトントンと進んだ企画です。
1年生の現代文の授業を観察した後に、学生たちと90分の授業検討会を実施しました。グループ討論で出された意見や疑問に授業者である本校の教員Sさんが一つひとつ丁寧に応答しました。世話役として検討会に参加していた私はやりとりを聴いてあらためて新鮮な気分で学ぶことができました。
 学生の授業観察の細やかさに感心するとともに、彼らの「学ぼう」「教えてもらおう」という意欲の高さに驚きました。「グループになったときに、先生の指示と違うことをしていた子がいた」「グループ内でできた子のものを写しているだけの子がいた。プリントを提出させないのか?」「おとなしい生徒への働きかけはできていたのか?」など意見や質問がどんどん出てきました。また、「グループ学習をする前に、個人で考える時間が必要ではないか?」という核心に触れるような疑問も出されました。以下、学生の発言で私が感心させられたことを箇条書きします。
・(授業の冒頭に示された)「メニュー」(授業の流れ)は新鮮だった。
・大学での経験で6人のグループではお客さんになる人もいるが、4人のグループだと対角線で話し合うため、しっかりと話し合える。
・文法のようにあらかじめ決まった世界の内容にもグループ学習は有効か?
・グループの意見を全体で共有するときに机を「コの字型」に戻されたのはどういう意味か?
・4人グループは笑顔で話している。一斉授業は身体がこわばっている。
・先生と生徒のやりとりが和気藹々としていた。「学びの共同体」は信頼関係がないとできないと思う。
・4人グループにしたときに机がズレている生徒は「問題」を抱えている生徒のようだ。
 後に学生たちが書いたレポートが送られてくるというので楽しみです。参加された教授から教職課程の授業でもぜひこの企画をやってみたいという話もありました。このような意見が飛び交う研究会が当たり前になるような開かれた学校になることを願っています。
(注)6月17日(日) 公開授業、研究授業、佐藤学さんの講演「高校における『学びの共同体』の創造」、授業検討会 詳細は本校のHP
 滋賀 夏原常明

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