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サッカー岡田監督に学ぶ

 NHKプロフェッショナル仕事の流儀5月21日放送【日本代表から、中国へサッカー岡田武史監督初密着!チーム舞台裏W杯、敗戦と挫折】のテレビを見た。
 勝つための戦術を教えるのではなく、選手たちが戦術を考えてチームとしてどのように戦うかを決めていくことが重要という課題は、生徒達を指導する場合も、示唆に富んだ重要な指摘だと感じた。勝つための戦術優先ではなく、自発的に選手たちが問題点に気付いていくことが重要で、それをもとにチームのメンバーで戦術を相談し、決定していくプロセスを大切にしている。受け身では成長しないと岡田監督は言っている。
 われわれも、様々な環境の中で育った生徒たちを抱えて「十八才を市民に」と取り組んでいるが、課題はさまざまである。彼らが自分で気づき、取り組むことがもっとも重要なのではないかと改めて考えた。
 大人との関係が作れない
 このごろ、東京の定時制高校の在籍の30~40%が中学時代の不登校経験者である。Aも中学時代不登校経験者で4年生になり、私が課題研究の担当になった。Aは大人との人間関係がうまく作れず、一学期は、かなりAに注意した。Aには言ってやらないと卒業したら社会に適応できないのではないかと言う懸念があった。アルバイト先では、先輩とケンカをして、すぐにやめてしまったということを聞いていた。
 Aは、自分の責任になることを極力さけるのである。たとえば、Aが私に「ここはどうやるのですか」と聞くが教えてやっても自分ではなかなかやろうとしない。教師がやってやると失敗したら教師のせいにできる。また、自分がやって失敗したら、教えた私のせいにする。自分の責任を言われるのがいやで、自分でやらないようにしているのである。結局、自分で判断し行動をし、その責任を取ることをしないのである。また、私にため口で話し、必要なものを持ってくるように頼む。「おれはおまえの担当だが、使いパシリではない」と何度か注意した。私の指導に自分の行動を反省し、冷静になったときに謝ってくることもあった。
 担任の指導もあり、二学期は注意をすることが少なくなったが、二学期の終わりに、最後に指摘したのは、報告書の内容であった。課題研究で取り組んだ課題を決めるとき、楽なものを決めたくて、友達が自分に勧めたものに決めた。結果的には、作るのに時間がかかり、作業も簡単ではなかった。課題研究の報告書の「はじめに」のところで、この課題を選び、大変だったのは友達Bのせいであると書いてきたのである。私は「君は友達を無くすよ。君が友達に相談し、友達がアドバイスをしたのに、それを自分で選んでおいて、友達が勧めたのが悪いというのでは、だれも君の相談には載らないし、友達になろうとはしなくなる。」と諭した。さすがに二学期の後半であったので私が言いたいことが理解できたのか、反論はせず、納得したようだった。
 支え合う彼ら
 そのAに、アドバイスをしたのも中学時代不登校経験者のBであった。彼も先生に対して敬語を使えないなど課題をもっているが、担任によると二人はお互いに支え合っているから4年間学校に通えたのではないかと言っていた。お互いにゲーム好きで甘えたところがあるが、Aは話し好きでBに話しかけをし、話し下手なBはそれに応じる形で話をしていた。Aがいなかったら、Bも学校が続かなかったのではと担任が話していた。彼らは「支え合っているのだなあ」と感じた。
 卒業式の日にAは、職員室に「4年間ありがとうございました」とお礼に来た生徒の一人になっていたのは嬉しかった。 
                               K(東京)

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