新しいまちでの1カ月は「住めば都」を肌身をもって実感した。最初は徒歩5分以内にコンビニのない生活に辟易としていたが、今では徒歩30分程度なら夫婦で買い物、食事にといそいそと出かけるまでになった。仕事や生活が不規則な私たちはよく出前を注文する。都会に住むとインターネットでも「出前館」なるサイトなど気軽にオンラインで、ご飯ものでもピザでもスープカレーでも寿司でも何でも食べることができた。今は、タウンページなどで住所が書いてあっても土地勘がないので、自分の足、目、舌など身体のあらゆる機能を使っておいしい店を「開拓」する。とにかく、便利のない分、何でも自分から動いて生活することはある意味「人間らしい」営みに戻ったのかもしれない。
新しいまちを歩いているととにかく2,30代の若い人たちが目につく。北海道であらゆる市町村を回ったが高齢者以上に多く会う世代がいないのでかなり新鮮な光景に見えた。自宅から10分近く歩けば有名会社も軒を連ねる工業団地があり、直近のコンビニには作業着の人たちが買い物に押し寄せる。バイパス沿いの安売り店や飲食店に行くと若夫婦や小さい子ども連れの家族、学生かもしれないカップルなどが多く見られる。ちなみに自宅は賃貸であるがここの管理会社の担当社員も、休日なのにガスを開けに来てくれた作業員も地元企業に勤める若者であった。ちなみに向かいは大家さんの息子夫婦と小さい子どもの3人家族であり、小さい子どもには目のない小学校勤めの妻はさっそく子どもと仲良くなり、母親とはメル友になったようだ。
ちなみにここの役所には出身学部・院の同じ先輩、後輩が数人勤めている。先輩は中堅どころであるが、外から見るところかなり重要な仕事を任されているようであり、地域でもずいぶん信頼を集めているようであった。また、この先輩を中心に月1回終業後にまちづくりの勉強会を開いており、あらゆる部署から若手の積極的な参加が見られた。さっそくその集まりに私も顔を出したが、そこには旧態依然とした公務員気質はどこにも感じられなかった。やはり、若い人の新鮮な感覚はどの組織や地域の活性化にも欠かせないものなのかもしれない。
(北海道高生研 井上)