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大会特集①「分科会のオススメポイント」 ◆一般分科会7〔HR〕 「学校は楽しく!生徒が学校生活をつくるとき(佐藤理河・北海道)」の紹介 ~これは、楽しさを起点に、みんなが大人になっていく爽快な物語です~

佐藤理河さんが勤務する高校は大都市近郊の町にある。この高校では、町外からの入学生が多く、市内の(地元の)高校には入学できない「逆流」現象が生じており、「本当は来たくなかった、この高校しか入れなかった」という生徒がわざわざバスに乗ってやってくる。ということは、「期待に胸をふくらませて」入学するというニュースの「常套句」は、ここでは通用しない。

このきびしい現実にどうたち向かうのか。「みなさんを歓迎しています」という教師から熱いメッセージを送ること、「この学校に来てよかった」という実感を新入生にできるだけ早く味わってもらうこと以外に対策はないだろう。だからこそ、佐藤さんは入学早々から「楽しくなければ学校じゃない」とばかりに、登校第1日目に「ジャージが配られた」ことを利用してバレーボール大会をしかけていった。いきなり大会を企画してうまくいくのか?これは壮挙というべきか、それとも暴挙なのか。この議論は、当日のお楽しみに。

 

学校を「逆流」の生徒たちの居場所にするために、ダンス、焼きそば、遠足(公園でカレーコンテストをする)など、楽しい企画は不可欠である。だが、この過程には生徒の「プロジェクト」の力を育てるという方針をしたたかにくみ込んである。また、優勝チームには「チュッパ・チャプス」40本をプレゼントして盛り上がるというのは、遊びに熟練した人でなければ思いつかない。このあと、ハロウィンの飾りつけをする、スマホルールを変える、冬季体育大会を復活させる、こんな試みは、佐藤さんの実践のねらいからすれば、必然に向かうべき方向であった。いろいろとトラブルはあったにせよ、40人の入学者があり、1人も退学者を出さなかったという事実も忘れずに書いておきたい。

以上すなわち、「逆流」という特殊な困難の中で培われた成果は、日本の多くの学校にある「息苦しさ」を突破する普遍的なヒントを宿している、ということになる。

だが、学校のルールを変えたり学校行事を変更したりするには、時間がかかる。意見を聞いたり、原案をつくったり、合意をとりつけたり、まことに手間のかかる営みである。改革にとりくんだ生徒たちは自分たちが卒業するまでに改正の「恩恵」を味わうことができないこともある。しかし、生徒たちは生徒総会で、こう発言している。「僕たちは卒業するけど、なんとか永嶺(・・これは高校名)五輪を復活できないか。」

 

これこそが立派な「大人」の発言ではないか。生徒会も政治も「もの取り」ではない。自分の利益のためだけに動くのではない。みんなのために、公の心をもって、将来を見すえて行動できる生徒がいた。この記録は、楽しさを起爆剤にして大人と政治を問いただそうとした人たちの爽快で痛快な物語である。これこそが、高校生活指導の誇りであり、私たちが広く宣伝したい偉業なのである。

<高生研会員通信No.189より>

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