昨今の鉄道ブームと相まってデパートの「全国有名駅弁とうまいもの大会~」が大繁盛だ。東京では元祖の京王百貨店、大阪は阪神百貨店、名古屋では?
ところで駅弁大会では「うなぎ弁当」はあまり見かけない。精々浜松自笑亭の「うなぎ弁当」ぐらいか。今日は知る人ぞ知るうなぎ弁当を紹介したい。
名古屋からJR東海道線の上り新快速に乗る。終点は豊橋。過日JR名古屋駅ホームのきしめんを取り上げたけど、「駅のきしめん」の一番は実は豊橋駅の『壺屋』だと思う。ここの「かけきしめん」、刻んだ油揚げが入っている。それもフツーの店なら別料金取るぐらいの量が。
ここは豊川稲荷が近く、この『壺屋』ははじめて駅の中で稲荷ずしを売った店だ。ここの稲荷ずしは具が入ってなくて、酢も薄くてそれがいいチェイサーに。濃いきしめんをすすって稲荷ずしを一口かじる感覚がいいのだ。
話が逸れた。豊橋に着いたら新所原(しんじょはら)駅で弁当を販売する『駅
のうなぎ屋やまよし』に電話をかけよ。(053 577 4181)
新所原は豊橋から普通列車で二つ目。電話をしておけば新所原に着く時刻に合わせてできたてのうなぎ弁当をつくっておいてくれるのだ。
新所原にはJRと天竜浜名湖鉄道の二つの駅舎がある。(天竜浜名湖鉄道の前身は国鉄二俣線、掛川と新所原を結んでいる。通称・天浜線)『駅のうなぎ屋やまよし』は天浜線の駅舎の中にある。
ここのうなぎは創業以来ずっと浜名湖で養殖されたもの。値段は1050円。包装紙は特になし、うなぎ弁当は『中日スポーツ』で包まれている!? できたばかりでまだ温かいというより熱い。
蓋を取る。四等分されたうなぎが目に飛び込んでくる。蒸しを入れない関西風。歯ごたえがあり焼きたての風味が広がり、タレも絶妙…
再び東海道線に乗れば、次の鷲津が近づくと浜名湖が左側に迫ってくる。天浜線なら浜名湖の北岸に沿って走る。「うなぎ弁当」を食べながら浜名湖の車窓を堪能。鉄道ファンには至福の一憩だ。
大阪 中村 貴彦