小学校では、近隣の産業や史跡を調べてまとめる授業がよく行われるが、中学、高校となるとそういう機会が極端に少なくなる。従って学校に毎日通っているがその学校のある地域のことについては意外と知らないという生徒も多い。先日3年生の課題研究の一環でアンケートが実施された。テーマは「菊池のイベント」である。年間を通して菊池市で行われる祭りや催し11項目について、私が担任するクラス(34名)の生徒のうちすべて知っていると回答した生徒は0であった。もちろん菊池市出身の生徒も3割程はいるのだが、それでも知っている項目は多くて4つというところだ。この結果から察するに、菊池の産業や歴史をよく知っている生徒はさほど多くないことが予想される。
菊池は熊本県北東部に位置し、北東部は阿蘇外輪山系を有する中山間地、南西部は菊池川、白川流域に広がる台地・平野部からなっています。農業は菊池・七城の水田地帯で評判の米を産出し、水田を利用した水田ゴボウも有名、また旭志・泗水では県内有数の畜産地帯を形成しています。台地・平野部の大津・菊陽ではニンジン・カンショの産地となっています。
これはJAのホームページに書かれた菊池の紹介文である。比較的近い所の出身である私も知らないことがある。この菊池にある100年以上の歴史を誇る菊池高校にこの春赴任し、入学式の翌日に行われた「1000人バーベキュー」に驚いた。1000人とは、全校生徒と職員、そして参加してくださる保護者を含めた数である。使った食材はお茶も含めてすべて菊池産。肉を焼くトングは学校林の竹を加工したものであった。実は、上記のアンケートを行っている生徒の指導者もこの1000人バーベキューの仕掛け人も同じ本校の教員である。また、この先生は昨年度赴任したばかりにもかかわらず、1年生の総合的な学習の時間で「菊池の歴史探訪」という企画を打ち出し、学年全員で学校周辺を散策して学習していたというバイタリティーあふれる人物である。
これらのことから、地域に根ざした生きた学習をすることが、地域に(そこに住む・通う自分に)誇りを持てる生徒を育てることにつながるのではないか・・・と最近考えている。 この先生には、7月の熊本高生研例会で報告をしてもらう予定である。いずれ「すこぶる」にも掲載されると思う(編集長の説得次第)のでお楽しみに。