日本全国、暑い日が続いています。
今年は熊本での全国大会
是非、皆さん、ご参加を。
今日から、一般分科会の概要をこちらの応援ブログに掲載します。(全国会員通信から抜粋しました)
一般分科会1[ HR ] 「単位制高校1年生 初担任の取り組み
小川による実践記録からは、教師にとっての無念と希望が読み取れる。飾らない言葉で、細かな点まで記録されている文章全体を眺めてみると、初担任としての初々しさやたくましさだけでなく、教師としての鋭い観察眼も兼ね備えていると感じられるだろう。
実践の前半部は主に小川が直面した困難や無念さが伝わる内容となっている。単位制高校であるという制度の特性上、生徒らがHR等で交流することができる時間は少ない。小川は「帰ってきてホッとする、安心できる場所」にしたいという願いをもって、意気揚々とHR実践に取り組みはじめる。
そんな中、田中という生徒が長期にわたり欠席を繰り返すようになる。小川は田中の家庭訪問に行きたいと早急に校内の教員らに働きかけるが、そこである困難に直面する。それは、「そこまでしなくていい」というような、生徒へ対するあきらめともとれるような教員らによるまなざしと、空気である。小川はそれに臆することなく、またのまれることもなく、したたかに田中のために、関係する教員らに働きかけ続けた。また、大人だけではなく、HRの田中と関係性がある生徒らにも働きかけ、田中が学校に来やすくなるよう工夫をしていた。幾何の困難を乗り越え、家庭訪問が実現するも、そこには疲れた表情で変わり果てた田中の姿があった。「学校に行きたい」という思いをにじませつつ、ヤングケアラーとして家に縛り付けられているようにも見える田中であった。最終的に田中は退学することとなってしまう。最後に小川が田中の母に伝えた言葉からは、田中に対する小川の思いがあふれている。
後半部からは、トラブルを経験しながらも小川とかかわる生徒らが文化祭に取り組む様子が記されている。大島はかつて不登校となり、過年度生として転入してきた生徒である。大島は、あるトラブルをきっかけに学校に行きたくなくなってしまう。小川は、この状況を打破するべく、恩師から助言をもらいながら生徒にかかわっていく。当事者らを巻き込んで話し合いの機会を設けた結果、険悪な関係にあったようにみえた者同士は関係性が改善したかのようにみえた。しかし、大島は友だちを心の底から信頼できていないことがわかる。そんな中、文化祭準備がはじまる。小川は文化祭準備が停滞する様子を見ながらも、むやみに介入したり、誘導したりしない。生徒の変化の機微を見逃すことなく、言葉をかけながら生徒が立ち上がってくるまでどっしりと構えている。何とか文化祭を満足するものに仕上げられたものの、そこで得られたものは何だったのだろうか。HRといった集団が事実上無いともいえる学校での希望や、教師としての無念さについて、大いに議論し、共に考えていきたい。