カテゴリー: 一般分科会PR

一般分科会7「学校は楽しく!生徒が学校生活をつくるとき 佐藤理河(北海道)」 の紹介と宣伝です。(司会:白石陽一)

とにかく「おもしろさ」が前面に出る実践です。たとえば、授業態度が悪い生徒に対して、理科教員は「授業の態度が悪いのだから、バスケットも勝てないんだ」と叱ります。(理科教師はバスケの顧問)これは、第三者から見ると「言いがかり」なので、生徒も怒って授業をボイコットします。佐藤さんは、この生徒に味方になって「大事件にしよう」とします。私は、結果としてうまくいっているけど「途中経過」がわからなかったので、以下のように「聞き込み」をしました。

私「大事件にしてうまくいく、という展望はあったのですか?」

佐藤「もちろん、うまくいく自信はありましたよ」

私「でも、一人の生徒が抗議したくらいで学校側が納得しないでしょう」

佐藤「いや、大丈夫だと思ってました」

私「生徒が<もういい、めんどくさい、謝ればいいんでしょう>とあきらめるかもしれないでしょう。」

佐藤「生徒はちゃんと主張できると思ってましたよ」

私「佐藤さんの<楽観>の根拠がみえないですね。ではお尋ねしますけど、佐藤さんは生徒に聞いてみたのですか? たとえば、こんな感じで。

あなた、ほんとうに怒っているのね?

管理職が出てきても、自分の意見は言えますか?

私(佐藤)がついていれば、相手は3人でも大丈夫ですか?

<そもそも、あなたの授業態度が悪いのよ>と言われても、<それとこれとは別です>と言い切れますか?とか話しましたか?」

佐藤「たしかに、生徒に聞きましたよ。」

私「その時の会話を再現してもらえませんか?」

佐藤「・・・・(長くなるので省略)」

私「生徒が強い意思をもつとしても、佐藤さん一人が抗議しても負けるかもしれないでしょう?

おまけに、不幸なことにこの時には、佐藤さんは学校の中では<弱い立場>だったでしょう」

佐藤「私は<学級崩壊>を止められない<甘い>教師だと思われていました。だから立場は弱かったです。なので、徐々に味方を増やしていきました。」

私「具体的には、だれを、どんな風にして、味方にとりこんでいったのですか?

佐藤「・・・・(省略)」

こんな風にして、佐藤さんの「自信の根拠」が次第にあきらかになっていくのです。「生徒を信じることが大事」「佐藤さんの共感力に学ぼう」というスローガン(概念)でまとめて終わりにするだけは、実践は広がりません。

実践記録には「書いていない」けれど佐藤さんは「きちんと実践している」、その貴重な場面を再現してもらうと実践が臨場感をもってきますし、追試できるようになります。

とくに「対話場面」がイメージできると、若い教師や学生も「こんな風に語ればいいんだ」と安心できます。

みなさん、どんどん「聞き込み」をして、「佐藤さん自身も知らない<佐藤さんのおもしろさ>」をみんなで発見してみませんか。

こんなドラマがいくらでも発掘できるので、実践検討会は盛り上がることは確実です。

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8月17日午前の一般分科会「良い授業ってどんな授業?」のお誘い

秋桜高校2年目の2人が、1年半過ごして感じた中で特に授業に焦点を当てて報告します。
どんな授業が良い授業なのか、授業や学校子どもたちとの関係を通して、、、
学校がどんなところであったら、授業がどんなんであったら子どもたちが明日も行きたい、
生きていたいになるのかを私たちのレポートを通してみなさんで悩み考えれたらいいなと思います。
秋桜だからできるのではなくて、自分たちの学校だったらどんなことができるかも一緒に悩み考え、
これからの社会のために子どもたちのためにを思えたらなと思います。

是非、参加していただけたら嬉しく思います。よろしくお願いします。

秋桜高校 竹澤成那

大会特集①「分科会のオススメポイント」 ◆一般分科会8〔HR〕 「文化祭~カップは踊る、されど回らず~」(報告者:西尾健佑・大阪)

本校は大阪の北部にある私立高校である。生徒数は定員630名に対し550名前後、偏差値は40といわゆる「教育困難校」と呼ばれるところである。男女比率は男9:女1であり、ほとんどが男子生徒である。実際に硬式野球部などの部活動に力を注ぐ教員が多く、抑圧的な教育が行われている部活も少なくない。一方、他の教員の教育実践に関しては不干渉であることが多く、管理職からの抑圧もないが、学校全体の雰囲気として「文化祭を縮小したい」という教員も多くいる中で行った実践である。

昨年度受け持ったクラス(29名)の文化祭の実践報告。ヤングケアラーや気持ちが不安定な生徒など、「問題」を抱える生徒も少なくない。しかし、前向きな生徒が多く、文化祭の出し物はコーヒーカップに決定した。ノウハウも無い中、試行錯誤し文化祭前日に完成したコーヒーカップ。ところが試運転で回らない。リーダーは心が折れて泣きだす。やり方を変えて、何とか本番を迎えるまでの過程を中心に報告する。

ただ、文化祭終了後、多くの生徒がバイトをするようになり、急速に教室の内から外へ彼らの心は動いていった。また、三学期には行事がないため、静かにクラスは終わっていった。文化祭後の「第二の盛り上がり」をどうにかして作ることができたら、もっと変わったのかもしれない。

この文化祭は、私自身かなり「見切り発車」をし、そして生徒たちには「多くのもの」を背負わせたと思う。担任としてもっとなにかできたのではないか、これでよかったのかなどを、参加者のみなさんと話し合いたい。

<高生研会員通信No.189より>

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大会特集①「分科会のオススメポイント」 ◆一般分科会7〔HR〕 「学校は楽しく!生徒が学校生活をつくるとき(佐藤理河・北海道)」の紹介 ~これは、楽しさを起点に、みんなが大人になっていく爽快な物語です~

佐藤理河さんが勤務する高校は大都市近郊の町にある。この高校では、町外からの入学生が多く、市内の(地元の)高校には入学できない「逆流」現象が生じており、「本当は来たくなかった、この高校しか入れなかった」という生徒がわざわざバスに乗ってやってくる。ということは、「期待に胸をふくらませて」入学するというニュースの「常套句」は、ここでは通用しない。

このきびしい現実にどうたち向かうのか。「みなさんを歓迎しています」という教師から熱いメッセージを送ること、「この学校に来てよかった」という実感を新入生にできるだけ早く味わってもらうこと以外に対策はないだろう。だからこそ、佐藤さんは入学早々から「楽しくなければ学校じゃない」とばかりに、登校第1日目に「ジャージが配られた」ことを利用してバレーボール大会をしかけていった。いきなり大会を企画してうまくいくのか?これは壮挙というべきか、それとも暴挙なのか。この議論は、当日のお楽しみに。

 

学校を「逆流」の生徒たちの居場所にするために、ダンス、焼きそば、遠足(公園でカレーコンテストをする)など、楽しい企画は不可欠である。だが、この過程には生徒の「プロジェクト」の力を育てるという方針をしたたかにくみ込んである。また、優勝チームには「チュッパ・チャプス」40本をプレゼントして盛り上がるというのは、遊びに熟練した人でなければ思いつかない。このあと、ハロウィンの飾りつけをする、スマホルールを変える、冬季体育大会を復活させる、こんな試みは、佐藤さんの実践のねらいからすれば、必然に向かうべき方向であった。いろいろとトラブルはあったにせよ、40人の入学者があり、1人も退学者を出さなかったという事実も忘れずに書いておきたい。

以上すなわち、「逆流」という特殊な困難の中で培われた成果は、日本の多くの学校にある「息苦しさ」を突破する普遍的なヒントを宿している、ということになる。

だが、学校のルールを変えたり学校行事を変更したりするには、時間がかかる。意見を聞いたり、原案をつくったり、合意をとりつけたり、まことに手間のかかる営みである。改革にとりくんだ生徒たちは自分たちが卒業するまでに改正の「恩恵」を味わうことができないこともある。しかし、生徒たちは生徒総会で、こう発言している。「僕たちは卒業するけど、なんとか永嶺(・・これは高校名)五輪を復活できないか。」

 

これこそが立派な「大人」の発言ではないか。生徒会も政治も「もの取り」ではない。自分の利益のためだけに動くのではない。みんなのために、公の心をもって、将来を見すえて行動できる生徒がいた。この記録は、楽しさを起爆剤にして大人と政治を問いただそうとした人たちの爽快で痛快な物語である。これこそが、高校生活指導の誇りであり、私たちが広く宣伝したい偉業なのである。

<高生研会員通信No.189より>

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大会特集①「分科会のオススメポイント」 ◆一般分科会3〔HR〕「行事づくりの中で生徒の課題に向き合い、支える」 報告者:田島直樹(大阪) 

1年生の担任として教員生活をスタートさせてから3年。様々な生きづらさを抱える生徒と向き合い、支えてきました。体育大会の目玉でもある応援団発表。希望者が集って、3年生が1、2年生にダンスを教え、練習を重ねて発表します。

(以下、一部抜粋、改変)

B(女子)が「副団長やりた~い」と教室内で言っていました。Bは、いつも授業中に寝倒しています。クラスメイトの顔や名前も覚える気がないらしく、誰がクラスメイトかも覚えていません。担任としては、人柄は温かいところもあるBに副団長を任せて学校生活全般を頑張らせたいという思いもあるけれど、最後までやり切らせることができるのかという不安も抱いていました。とはいえ、Bを副団長にするからには、他の生徒からの信頼を得るためにも、学校生活全般を頑張るように変化を迫りました。「副団長を任せたいとは思ってるんやけど、今の状態やとちょっと不安やわ。遅刻・欠席をなくして、授業も集中するってこの場で決意できるなら任せようと思ってる」と言うと、Bは「自信ないから応援団やめとこうかな」「勉強とかも頑張れって言われたら嫌になってきた」と言い出しました。私としては「よっしゃ、やったるわ」という返事を期待していたので、かなり動揺してしまいました。「そんなこと言わんと体育大会の取り組みを通して、まずは2週間がんばってみいや」と、なぜかこちらから説得する形になりましたが、Bも最後には「頑張る」と決意をしました。

 

他方で、A(女子)が応援団をやるということなので、彼女にも任せたいと思っていました。Aは生徒会役員でもありますが、あまり人前に出たがらないので、応援団のなかで前に出ていくことで自信をつけさせたいという思惑もありました。Aが素直に引き受けるとも思えなかったですが、ダメもとでAに副団長をしないかと打診しました。私から話を持ち掛けた時は断られましたが、別の教員から話をしてもらうと、引き受けてくれました。

 

他クラスの団長Cは、様々な課題を抱えている生徒ですが、真面目に授業を受けており、部活では女子のキャプテンを任され、学校生活に前向きな生徒でした。そのため、学年主任は応援団長を任せてみようと思ったそうです。しかし、団練習でCがトラブルを招いてしまいます。そこで、練習後、Cを呼び出して、団長を続けるかどうかも含めて指導をすることにしました。話し合いの場でも、Cは自分の非を認められず、他の子たちに謝罪することはできないとの一点張り。応援団長も、「先生にやれって言われたからやってるだけで、私はやりたくなかった」と言い出します。率直に言えば、その日の一部始終を見ていて、私は応援団長を誰か別の生徒に替えるべきではないかと思っていました。ただ、他の教員2人は、このままCを支えていこうという方針でした。生徒2人も「自分たちも頼りないかもしれんけど、協力していきたいと思ってるから一緒に頑張ろう」とCを説得してくれ、数時間に及ぶ話し合いの結果、Cから「団長をやりきる」という言葉を引き出しました。

 

前途多難な体育祭含め、担任として取り組んだことを振り返り、生徒たちの成長、変化を読み解きます。

<高生研会員通信No.189より>

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