一般分科会6 [不登校] 「親の会」での親と教員の学び及び運営の在り方

「たとえば、学校を鯖に例えてみましょう。
 多くの大人たちは『鯖はとっても栄養があって、食べると頭がよくなる』と信じています。だから『食べなさい』と勧めます。子どもが少しためらっていると『食べないと賢くならないから、少しでもいいから食べなさい!』と勧めます。そうすることが大人たちの義務だと信じているからです。
ある子は喜んで食べます。またある子は仕方なく食べます。そんな中、鯖を頑張って食べた子が、腹痛を訴えました。鯖が少し傷んでいたようです。でも大人たちは、原因に気付かず『これはとっても栄養があるから』と、また鯖を食べさせようとします。子どもは『食べられないと恥ずかしい』という思いもあり、少し無理して食べてみますけど、またお腹が痛くなってしまいます。
 そんなことを繰り返していると、子どもは鯖を見るだけで脂汗が出たり吐き気がしたりするようになり、少しも食べられないようになります。
 大人たちは首をかしげ、対策を話し合います。『どうしたらあの子が鯖を食べるようになるか?』という話し合いです。ごく一部の人はここで気づくのですけど、多くの大人は『鯖を食べないと頭が良くならない。先々生きていけない』とまで思い込んでいますから、自分たちが食べさせようとする鯖がその子にとって危険なものになっていることに、気づくはずもありません。・・・・」 
石井嘉寿絵 著『たとえば鯖 不登校・ひきこもり・発達障がい に思う』(2022)より

この分科会では、300回以上「親の会」を運営し、「900人以上の不登校で悩む方々のお話を聴いている」親であり運営委員である石井さんの報告から、団体名「不登校に学ぶ」の「学ぶ」に込められた「学校をよりよい環境に、魅力的なところにしてほしい」、「学校の先生も楽しく過ごせる学校を」という「フレンズネットワーク」の願いを確認し、そうした学校の在り方を考えていきたい。
また、親の会が大切にしている、「受け止める」ということ。「『親の会』の参加者は、一番つらいことは中々話されない、その場が安心して話せる場だと話せることもあるが、本音ではないこともある」と石井さんは言う。「親の会」の運営の在り方を聞き取りながら、「親の会」の存在意義を考えていきたい。その際、上記『たとえば鯖』に著される不登校への捉え方を参加者と共有したい。
 そして、定時制に異動になり、これまでの指導法で壁にぶち当たった山本先生が、「フレンズ」に参加することで、最初は「教員の悪い癖が出て」、「悩まれている保護者の方に“アドバイス”や“助言”をしたくなり、」「真逆の空気を作ってしまっていた」が、「親の会に関わらせてもらい、私自身も聴いてもらうことを繰り返すうちに、人の話を聴くことが幾分か出来ているなと思える」ようになった変容、つまり自分の教育観が崩され、自分の教育スタイルを再構築していった過程を参加者と一緒に読み解き、教育と子育てと福祉の繋がり方を考えたい。

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