月: 2023年7月

大会特集①「分科会のオススメポイント」 ◆一般分科会3〔HR〕「行事づくりの中で生徒の課題に向き合い、支える」 報告者:田島直樹(大阪) 

1年生の担任として教員生活をスタートさせてから3年。様々な生きづらさを抱える生徒と向き合い、支えてきました。体育大会の目玉でもある応援団発表。希望者が集って、3年生が1、2年生にダンスを教え、練習を重ねて発表します。

(以下、一部抜粋、改変)

B(女子)が「副団長やりた~い」と教室内で言っていました。Bは、いつも授業中に寝倒しています。クラスメイトの顔や名前も覚える気がないらしく、誰がクラスメイトかも覚えていません。担任としては、人柄は温かいところもあるBに副団長を任せて学校生活全般を頑張らせたいという思いもあるけれど、最後までやり切らせることができるのかという不安も抱いていました。とはいえ、Bを副団長にするからには、他の生徒からの信頼を得るためにも、学校生活全般を頑張るように変化を迫りました。「副団長を任せたいとは思ってるんやけど、今の状態やとちょっと不安やわ。遅刻・欠席をなくして、授業も集中するってこの場で決意できるなら任せようと思ってる」と言うと、Bは「自信ないから応援団やめとこうかな」「勉強とかも頑張れって言われたら嫌になってきた」と言い出しました。私としては「よっしゃ、やったるわ」という返事を期待していたので、かなり動揺してしまいました。「そんなこと言わんと体育大会の取り組みを通して、まずは2週間がんばってみいや」と、なぜかこちらから説得する形になりましたが、Bも最後には「頑張る」と決意をしました。

 

他方で、A(女子)が応援団をやるということなので、彼女にも任せたいと思っていました。Aは生徒会役員でもありますが、あまり人前に出たがらないので、応援団のなかで前に出ていくことで自信をつけさせたいという思惑もありました。Aが素直に引き受けるとも思えなかったですが、ダメもとでAに副団長をしないかと打診しました。私から話を持ち掛けた時は断られましたが、別の教員から話をしてもらうと、引き受けてくれました。

 

他クラスの団長Cは、様々な課題を抱えている生徒ですが、真面目に授業を受けており、部活では女子のキャプテンを任され、学校生活に前向きな生徒でした。そのため、学年主任は応援団長を任せてみようと思ったそうです。しかし、団練習でCがトラブルを招いてしまいます。そこで、練習後、Cを呼び出して、団長を続けるかどうかも含めて指導をすることにしました。話し合いの場でも、Cは自分の非を認められず、他の子たちに謝罪することはできないとの一点張り。応援団長も、「先生にやれって言われたからやってるだけで、私はやりたくなかった」と言い出します。率直に言えば、その日の一部始終を見ていて、私は応援団長を誰か別の生徒に替えるべきではないかと思っていました。ただ、他の教員2人は、このままCを支えていこうという方針でした。生徒2人も「自分たちも頼りないかもしれんけど、協力していきたいと思ってるから一緒に頑張ろう」とCを説得してくれ、数時間に及ぶ話し合いの結果、Cから「団長をやりきる」という言葉を引き出しました。

 

前途多難な体育祭含め、担任として取り組んだことを振り返り、生徒たちの成長、変化を読み解きます。

<高生研会員通信No.189より>

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大会特集①「分科会のオススメポイント」 ◆一般分科会2〔生徒会・総合学習〕「協働の力で、学校をそして社会を変えていこう! (報告者:清水直哉・神奈川)」 文責:内田 理(運営担当)

「協働の力で、学校をそして社会を変えていこう!」と題した「生徒会・総合学習」の分科会ですが、神奈川湘南学園での中1から高2までの5年間の学年実践でもあります。

湘南学園では、「社会の『ナマ』に出会い成長する生徒会」(有薗和子『高校生活指導』213号)で報告されているように総合学習と生徒会の活動が連動した、いろいろなプロジェクト活動がおこなわれ、「外部の本物の大人と出会い、生徒が成長して行く教育実践」がなされているところです。その学園で、中学1年生が5年間でどう成長してきたのかが報告されています。

 

報告されている学年(現高3)は、中1のときに「学力的に厳しく、トラブルが絶えない学年で」「『オレたちはどうせできない学年だから』と自分たちのことを諦めたり卑下したりする言動が多」く、「教室では『死ね』という言葉が飛び交い、対人関係のトラブルは男女問わず毎日のように起こってい」た学年だったと書かれています。

 

その生徒たちが高2のレポートで「『考える』とか、『知ってもらう』ことだけでとどまるのではなく、社会のさまざまな問題や矛盾、困っている人たちがいることを、自分達が解決していく。そういう取り組みに、これからはステップアップしていきたい!」と述べることができるまでになっています。

 

「特に中学生の間は、落ち着かない・話をきけない彼らにどのように対応するかは、学年教員にとって本当に悩ましい問題で、毎日学年の教員で話し合っていました。

・・・・理想と現実の間で1人1人の教員が悩みながら、子どもたちと向き合う日々を過ごし」て、学年づくりをしています。このような中で、生徒たちが中心の学年クラス委員会とプロジェクト活動をつくり、「子どもたち自身が考え、悩み、チャレンジするというプロセスを通して、彼らの中で『学年をつくっていくのは自分たちである』という認識が育まれ、また学年のリーダー集団の間に『仲間意識』」が生まれたといいます。この中学時の実践が生徒たちの変化を生み出す土台になっているようです。分科会では、この中学時の成長を何が生み出したのかを分析できれば良いなと考えています。

 

また、この学年は高2のリーダー学年になったときに、様々な活躍をしています。それはどのようにつくられてきたのかも分析したいところです。様々な行事の活動、いろいろな学び、それらがどう結びつき、生徒たちの変化を生み出しているのだろうか。

 

いろいろ興味が尽きない報告で、大会の分科会で参加者の皆さんと分析するのが楽しみです。

最後に、報告者の清水さんの言葉を紹介しておきます。「彼らとともに歩んだ5年間の中で、わたし自身教員として多くのことを学ばされました」という素敵な記述があります。清水さんが何を学んだのか、分科会での分析・議論を通して参加者の皆さんと共有できると良いなと思っています。

<高生研会員通信No.189より>

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大会特集①「分科会のオススメポイント」 ◆一般分科会1〔特別支援〕 「過酷な現実(いま)に揺れる生徒に応えるということは」(報告者:河上 馨)

機関誌『高校生活指導216号』特集2に掲載されている特別支援学校での、高校1年次HR実践です。(が、どの教育機関にも共有される内容です)。この実践記録が生まれた経緯を紹介します。

執筆依頼を受けた河上先生の当初の理由は「それなりにうまくいった実践」であったからだと思います。外国にルーツを持つ主人公のタクミくんが巻き込まれていく問題状況に応えようとあきらめずに関わりつづけた理由は、タクミくん本人が自分の新たな在りようを模索していった姿として河上先生の印象に残っていたからです。

しかし、執筆のさなかにその認識が誤りであったことを突き付けられます。配属転換していた河上先生は、元同僚から、タクミくんが「違法薬物の運び屋をやらされ」、「本人も、断ることができずに薬物を摂取し、中毒になってしま」い、「ダルク(薬物依存症患者の社会復帰をサポートする施設)の職員と卒業式に参加」したことを伝えられるからです。

タイトルが、「過酷な現実(いま)に揺れる生徒に応えるということは」という「問い」になっているのは、誰よりも河上先生自身が、この実践記録を執筆していく過程で「どう関わっていたらよかったのか」と問われているからです。本気で関わっていたからこそ突き付けられる、生活指導を模索していく原点ともいえるこの問いを、みなさんと深めていけたらという思いがあります。よろしくお願いいたします。

<高生研会員通信No.189より>

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多彩で豊かな分科会・交流会 対面で、共にエンパワーしましょう

東京大会実行委員会共同事務局長     森 俊二(成城大学)

 

2023年8月16日~18日に東京の成城大学で高生研第61回全国大会が開催されます。大会がいわば「完全実施」(対面参加がベース)となるのは4年ぶりです。

対面でのコミュニケーションは、互いに相手を実感し、感情の共有をしやすいと思います。対面ベースの高生研大会は、全国の仲間と学び、討論し、またお酒を交えたりして交流します。だから、共にエンパワーするのではないでしょうか。そうした高生研に集う全国の人とのつながりを実感する大会こそ、高生研の真骨頂だと思います。

2023東京大会は、まず基調討論や一般分科会が、それぞれ生徒と学校のあり様を実践を通して、共に学ぶものとなっています。2日間で8本の一般分科会は多彩で、生徒の過酷な現実に応える教師の姿や、生徒会と総合学習等を通して成長する生徒たちなど、どの実践も生徒たちと向き合い、共に生きる関係性と学級・学校に向けて取り組む実践がそろっています。3日目の4本の問題別分科会もそれぞれ充実したものです。

そして、特にこの東京大会は交流会を2日間実施にしました。そのラインナップは豊かで、16日は、「外国人にルーツを持つ高校生たちの声を聴く」「西郷孝彦世田谷区立桜丘中学校元校長を囲んで」など3つ、17日は、「成城学園ツアー」「発言したいと思えるクラス活動を通して身についたこと」など4つあり、どこに参加するか悩むほどの多彩な企画が並んでいると思います。是非、ご参加ください。

この、東京大会実行委員会づくりを通して、私たちは「高生研を次世代につなぐ」ステップにしたいと大会づくりに取り組んでいます。前の世代から受け継いだ高生研を次の世代の方々に是非、そのバトンをつなぐ取り組みにしたいと思っています。ですから、実行委員会は、実行委員長の古川さんを始め、ベテランと若手が共同事務局長、共同係長等を担い、ペアを組みながら大会づくりを担っています。実行委員も少しずつ増えて、現在22名で、ベテランと若手がワイワイ楽しくやっています。

実行委員一同、8月16日から成城大学で皆さんのお越しを心よりお待ちしています。