日別: 2019年7月21日

 一般分科会4「学びの問いはどこから」の案内と宣伝です。

高校一年生の国語の授業なのですが、授業者の古川優子さんは、投げ込み教材として、柚木麻子「フォーゲットミー、ノットブルー」を使っています。この小説は、私立女子高校での「いじめ」が描かれています。「まじめな」子が、「自由奔放な」子に惹かれつつも、その奔放さに翻弄され、嫉妬・羨望・怒りなどがないまぜになっていじめに手を染めてしまう、というストーリーです。思春期の高校生が読むと「わがこと」のように感じることができるでしょう。「ふつうの」子が「ちょっとしたこと」がきっかけになって「とりかえしのつかない」地点に行ってしまう、こんな高校生の繊細で危うい内面を学ぶことができるという意味では、高校教師にとっても「刺激的資料」だと言えるでしょう。
 この小説には、まじめな主人公が、奔放な友人に「学校は退屈なので江ノ島に行こう」誘われる場面があります。彼女は断ったのですが、友人からは「意気地なし」と言われてしまいます。そのほか高校生が大学生の彼氏の車に乗るような場面もあり、硬いタイプの学校の先生は「悪い影響を受けるかもしれない」などという「道徳的配慮」から敬遠されそうです。
しかし、「道徳と文芸は異なる」のです。ここがわからないと小説を読む意味を説明できません。ちなみに主人公が「意気地なし」と言われた事件は、後の「いじめ」の伏線・端緒にもなっており、古川さんの授業ではこの場面に焦点化した授業展開になっています。
 こんな「おもしろい」小説をよくぞ探してきた古川さんの見識も立派なら、こんな小説を「研究授業でとり扱うことを認める」和光高校の度量も立派だと思うのです。
 みなさま、ふるってご参加ください。ですが、ここで難点が一つだけあります。この教材文は、新書で70ページあるのです。物語の展開は早いのでふつうの大人なら「一気に読める」のですが、そうはいっても「予習、下読み」していただかないと、当日の議論には参加しづらいと思います。
「フォーゲットミー、ノットブルー」は、柚木麻子『終点のあの子』(文集文庫、533円)に載っていますので、事前に読んでいただけるとありがたいです。もちろん、当日の初日から受付で「コピー」も準備していますので、第1日の空いた時間に読んでいただいてもかまいません。               (運営担当者:白石陽一)
『終点のあの子』