生活習慣病は生活習慣を変えることから~糖尿病対策はダイエットにも有効~その3

3,まとめにかえて
 3ヶ月の生活習慣の改善を通して、私はいろいろなことを学んだ。まず、思ったことは
現代の日本人は食べ過ぎ、飲み過ぎの生活を無計画に続けているのではないかということだった。忙しくて、ご飯もゆっくり食べていられないと言って、かけ込むような食事をしている労働者や組合関係者も少なくない。茶碗にいっぱいに盛ったご飯の上に、油っぽいおかずを載せてご飯を食べる。私自身、カツ丼とラーメンを一緒に食べるような食事を続けてきたが、一定の年齢を過ぎるとあんな食生活では病気にならない方が不思議だ。
 そして、現在の国家予算に占める医療費は30兆円を超えて、3分の1が糖尿病の治療に使われているという報道があった。日本人一人ひとりの生活習慣を改善することは、国家的な問題でもあることがよく分かるようになった。世界的には、糖尿病患者が急増しているのがインドで、その原因はインド人が古来太っていることが金持ち・人格者の証明であると考えられてきたことと油ぽいものと甘いものを好んで食べてきたことにあるというような話を聞いた。現在、インドでは食事の改善が国家プロジェクトとして進められ、日本食が健康食として一つのブームになっているそうだ。
 それにしても、糖尿病などを「生活習慣病」と名付けた先人の知恵には驚くばかりだ。しかし、残念ながら、その知恵を理解している日本人は少ない。「生活習慣病は生活習慣に問題がある人がなるものだ。」と考えても、「生活習慣病は生活習慣を改善すれば治療が進む。」と考える人は少ない。生活習慣病の患者である多くの日本人は、「人から自分の生活の仕方について、何を食べるかどのように食べるかなどについてあれこれ言われる筋合いはない。それらは個人の自由である。」と考えている。
 しかし、これでは生活習慣病患者は増加するだけで、国家予算も破綻の危機に陥るだけである。そもそも、人間の身体は個人的なものだけではなく、社会的な価値を持った存在でもある。睡眠時間を削りながら仕事をしすぎて、精神疾患を患ってしまうのは当該職場の組織にも大きな問題であり、政府や行政機関、職場の管理職はそうした働き方をする労働者に有効な支援や規制をする必要がある。ブラック企業が労働者を使い捨てにするような働かせ方をするのは、社会的な労働力の使い捨てになるから問題になるのであり、政府の規制が入るのは健全な社会の構築のためには必要不可欠なことである。
 もちろん、こんな政治的・社会的観点から生活習慣病を大げさに考えなくても、ダイエットという個人的願望という観点からも生活習慣の改善は非常に効果的であることが私自身の経験から証明できた。3ヶ月で約10キロやせるなどというのはダイエット理論としては非常に優れたものである。また、この3ヶ月間の健康状態が非常によかったことも生活習慣の改善が多方面で効果的であることを明らかにした。そして何よりも私はこの3ヶ月間空腹を感じるような感覚は全く味わっていないばかりか、食事が楽しかった。
 しかし、「生活習慣を変える」ことの意義を、「生活習慣を変える必要がある」人に伝えることは非常に難しいと言わざるを得ない。人は貧しさの中で、科学的に物事を考えることを放棄してしまう。ジャーナリストの堤 未果が「ルポ貧困大国アメリカ」で、貧困層のアメリカの子どもたちがジャンクフードを食べ続けて肥満児になっていることを問題にしていたが、これはアメリカだけの問題ではない。日本の社会も貧困が拡大している。貧困の拡大の中では、労働者・国民の生活改善の道筋を見つけ出していくことは非常に難しい。私は記録マニアでもあるが、記録をしなければ生活の改善は前には進まない。しかし、記録は誰でもできることではない。生活に余裕のない人には考えられないことである。運動もしない、野菜は食べないという生活を続けながら高額のダイエット食品やサプリメントを買い続け、飲み続ける人たちには私の体験は伝わらないのか。
 しかし、民間や政府の取り組みも相まって、この20年間くらいで喫煙に関する日本人の考え方が激変したことを考えると国民一人ひとりの生活習慣の改善も全く不可能でないとも言える。そうしない限り、社会の健全な発展はあり得ないからである。学校教育の中で、「食育」の必要性が強調されてはいるが、国民的に教育内容を具体的に検討するまでには至っていない。高校教育の中でも、社会科学的な観点を重視した「家庭科教育」を通して生活習慣の改善の必要性を高校生に教えていく必要があるだろう。つまり、日本人の生活習慣の改善は、政府の労働者政策と教育政策の具体的な取り組みとして推進されなければならない問題である。
岡野 一男

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