本の紹介(「つっこみ力」・熊本高生研通信186号から)

おすすめのl冊
   パオロ・マッツァリーノ『つっこみ力』
  (ちくま新書・700円+税・2007年2月刊行)
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 私(福永です)は、県が毎年出しているパンフレット『高校生のための百冊の本』(愛称「BOOKMAP」)の編集委員の末端に位置しているが、編集会議のさなかに「これは笑えて学べるよー」とある先生から提示されたのが、この本である。試しに一読すると、面白い面白い。しかも、どんどん折り目が増えていく(私は線を引く代わりにページの隅を折るクセがある。無論、身銭を切って買った本だけだが)。
 著者はイタリア人と称しているが、どう考えても日本の若手の社会学者だろう(本人は「戯作者」と名乗っているけど)。彼はいう。「学問なんて誰にでもできる、くだらないけど面白い娯楽」、「社会学とは、社会と人間を対象とした究極の雑学」だと。そして、最近はやりのメディア・リテラシー(情報活用能力)なんてよくわからないことばをわかったようなフリして使うよりも、
「つっこみ力」の方がわかりやすいと説く。「つっこむ」ことで、さらに場を盛り上げ、笑いを招き入れることができる。「つっこみ
力」は「サービス精神」と「自己犠牲の精神」が息づいている点で、批判や批評、単なるメディア・リテラシーとは一線を画している。天才や異才が新しい価値を生み出し、私たち凡人は、それに「つっこむ」ことで、さらに盛り上げ、価値を高めていけるのである。
 本書には、世の中の様々な疑問が登場するが、それをいくつか紹介したい。「郵政民営化でなぜ小泉自民党が圧倒的勝利をおさめたのか?」、「根拠のない国民性のイメージ(「イタリアは怠け者、日本人は我慢強い」など)を広めた名著とは?」、「”植民地支配は支配される側にも恩恵がある”という命題は正しいか?」、「ある会社の経営者が”給料を出来高制にすれば、仕事のできる社員はより多い報酬を求めて一生懸命に働くし、できない人もクビになるのを恐れて一生懸命に働く。ゆえに全社員が懸命に働く”といったが、この会社の未来は?」、「テレビのデジタル化は誰がのぞんだのか?」、「缶コーヒーの売り上げは○○○の数で決まる」、「世界一犯罪発生率の高い国は?(アメリカではありません)」などなど。どの問題も「つっこみ力」を活用すればあっさり解決(?)。
 「愛と勇気とお笑い」が「つっこみ力」の三要素。さあ、みなさんも735円持って本屋さんに駆け込んで、世の中を「面白く」(「正しく」ではない)しよう!。
                          (文責・福永 信幸)

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