紅葉と授業

                                              東京高生研 上條隆志
 久しぶりに高校2年の物理の授業を持ちました。秋になると学校の近くのR庭園の紅葉がきれいです。有名な観光スポットでもあります。
 秋晴れの1日、授業へいって「今日は天気もいいし、R庭園の紅葉が真っ盛りです。で、もし君たちが良ければ野外授業にしたいと思うのですが」といいます。私たちのころはHRや授業で外に散歩に行ったりするのは良くやりましたが、最近の子は学校は基本的に教室で聞くものと思っているので「えっ本当?」「おおっ」と驚きの反応が返ってきます。もっとも物理ではときどき大きな実験は廊下でや野外でやっていますが。
 授業は2時間続きなので行って帰っても時間は十分。玄関前に集合してみんなで向かいます。ここは有料なのですが公立の学校は頼めば無料にしてくれます。「私に任せなさい」といって係員にお話しします。実はLHRでも利用しています。「先生、顔なんですね」と生徒。
 中にはいるとさすがにすごい紅葉です。まずは小広場に丸く集めます。「さてこの紅葉の色はきれいですが、なぜこの色が見えるのでしょうか。日光はすべての色を含んでいますが、黄色く見えるということはちょうどその反対の色を葉が吸収して残った色の光が出てきて見ているわけです。この原因となる色素の分子はカロテノイドと呼ばれる一群の分子です。トマトの赤、カニ・エビの赤、卵とトウモロコシの黄色などほとんどの色はこの分子によるものです。」
 「この分子は炭素が一本の鎖のようにつながっている特別な構造をしています。実はこの鎖は交互に二重結合でできているため、そのうちのひとつの電子が鎖の中を自由に動けます。ちょうど一本の金属の棒のようです。つまりアンテナみたいなものですね。で、この分子の長さが違うと違う波長の色を吸収します。生物のもつカロテノイド分子の長さが、その生物の色を決めているのです」
 「この理論をはじめて作り上げたのはノーベル賞をもらった朝永振一郎です。つまり朝永が人参はなぜ赤いかをはじめて解明したと言えます。」
 説明はここまで、後は十分に自然のすばらしさを感じ取ってくださいと、自由に探索。「おだんごが食べたくなったら××××」。紅葉狩りに来ている市民から「いいわね、社会科見学?」と聞かれて「いいえ、物理の授業です!」とさわやか。
 家に「どこにいると思う?」とメイルしている子もいます。「教育の原点ですね!」という子も。「それほどじゃないけど。」
いろいろ話ながら生徒と歩くのは素敵です。授業ノートにそのときのことを詩に書いてくれた子もいました

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